中国の家電大手「美的集団」が香港でIPO、最大5000億円調達へ
中国の家電大手、美的集団(Midea Group)は9月9日、香港での新規株式公開(IPO)に向けて、注文受け付けを開始した。ビリオネアの何享健が創業した同社は、ここ3年余りの香港市場で最大となる270億香港ドル(約5000億円)規模の資金調達を目指している。 広東省仏山市に本拠を置く美的集団は、2013年に深セン証券取引所に上場したのに続いて、今月17日に香港市場へと上場する予定だ。時価総額が約4274億元(約8兆6000億円)の同社は、この上場で調達した資金をグローバル市場での拡大や、サプライチェーン及び流通ネットワークの拡充に充てると述べている。 美的集団の新たな上場は、2021年にJDロジスティクスが32億ドル(約4582億円)を調達して以降、香港市場で最大のIPOとなる見込みで、アナリストは、深セン上場株の6日終値との比較しても25%のディスカウントとなる同社の香港上場株は魅力的だと述べている。 この株価のギャップは、同じく中国の家電大手であるハイアールスマートホーム株に存在する2つ市場間のギャップを上回る。ハイアールの香港上場株は本土上場株に比べて約9.5%の割安にとどまっている。エバーブライト・セキュリティーズの証券ストラテジストであるケニー・ウンは、美的集団がより多くの投資家を惹きつけるために香港市場での売出し価格を抑えた可能性があると指摘した。 美的集団はグローバル展開を加速させており、2012年に日常の業務から退いた創業者の何は、推定236億ドル(約3兆3800億円)の資産を持つ中国で7番目の富豪となっている。フォーブスはまた、現在同社を率いる57歳の方洪波の保有資産を14億ドル(約2005億円)と試算している。 2017年に行われたフォーブスによるインタビューで、方は、「私たちはグローバル企業を目指しているが、まだ道のりは長い」と述べていた。 目論見書によれば、美的集団の昨年の収益は、前年比8.1%増の3737億元(約7兆5200億円)で、そのうちの40%が海外からの収益だった。同社は、エアコンや冷蔵庫、洗濯機に加えて、ロボティクス事業も展開しており、2022年にはドイツのロボット企業Kuka(クーカ)を完全子会社化した。美的集団の昨年の利益は、前年比14.1%増の337億元(約6782億円)だった。
Yue Wang