JPモルガンと野村HD警告、レバレッジ型ETFが株価変動を増幅
(ブルームバーグ): 株式市場では何週間にもわたり高いボラティリティーが続いている。ウォール街の市場関係者は、特に取引終了間際に値動きが激しくなっているのは、急成長しているレバレッジ型上場投資信託(ETF)に原因があると指摘した。
レバレッジ型ETFは、デリバティブ(金融派生商品)を利用して個別株や株価指数のリターン拡大もしくは逆張りを目指す商品。JPモルガン・チェースによると、ナスダック100指数が約3%急落した今月3日、これらのETFは約150億ドル(約2兆1200億円)相当の株式を売却。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)開始以来、リバランスに伴う最大の売りとなった。
野村ホールディングスによれば、この動きはS&P500種株価指数先物にも圧力をかけ、同先物は取引終了近くの17分間で34ポイント急落し5516となった。
3日が例外だったわけではない。レバレッジ型ETFは最近、市場全体に過去最大の影響を及ぼしている可能性があると、モルガン・スタンレーのクオンツ・デリバティブ・セールスチームが17年に集計を開始したデータを引用して指摘した。
レバレッジ型ETFやインバース型ETFは短期間の保有を前提としているため、目標パフォーマンスに合わせて日々の取引終了近くにリバランスが行われる。その結果、値動きが荒い日には、株価がいずれかの方向に大きく振れやすくなる。これらETFの資産が今年に入り、過去最高の1170億ドルに拡大していることも影響している。
ETFの取引は、1日6000億ドルの取引が行われる株式市場に比べると小規模であるものの、全ての活動が短い時間帯近くに集中していることは、極めて大きな影響を及ぼす可能性を意味する。
JPモルガンのストラテジスト、ニコラオス・パニグリツグルー氏は「1日の終わりの100億ドルから150億ドルのリバランスは小さくはない」と指摘する。
レバレッジ型・インバース型ETFは投機的な取引を助長するとの批判がある一方で、ここ数年は個人投資家の間で人気が高まっている。