電気自動車はそろそろ「使えるクルマ」になってきたのか?
選択肢の少なさがEVの決定的な弱点
EVびいきの私ですが、「EVにするといいですよ」と自信をもってオススメできるのは、以下のような条件に当てはまる人です。 (1)自宅にコンセントを設置できるガレージがある (2)毎日の通勤など1日に走る距離が80km以下 (3)エネルギーや環境問題への意識が高い EVのメリットは自宅で充電できること。マンションなどの集合住宅で車庫にコンセントが設置できない場合、日常的な充電さえも近くのディーラーなどでするしかなくて面倒です。また、毎日コンスタントに100km以上を走行するような使い方には、現状のEVはまだ不向きというしかありません。
一方で、EVはエンジン車に比べて加速がスムーズで「気持ちいい」というメリットもあります。さらにEVはエンジンに比べてエネルギー効率がよく、自分が今どのくらいのエネルギーを使って走っているかということに敏感になり、環境への問題意識が高まるという効用があるのです。EVの気持ちよさとエネルギー効率の良さを知り、「もうエンジン車には戻れない」とEVに惚れ込んでいるオーナーさんが、私の周囲にはたくさんいます。 ただし、市販EVの選択肢はまだ多くありません。たとえば、一充電で150km走れて150万円程度で買える軽自動車のEVがあればきっとたくさん売れると思うのですが、残念ながら、まだそういうEVは市場に登場していません。実は、車種の選択肢が少ないことこそが、EVにとって最大の弱点といえるのです。 日本国内の急速充電インフラは整いました。車種のバリエーションが増えればEVには一気に普及する魅力があるとは思いますが、今はまだ「乗り手を選ぶ」自動車です。ざっくりと定義するならば、今、EVのオーナーとなるべき人は、少々の不便は受け入れてでも気持ちよさを選ぶ経済的&精神的な余裕があり、エコロジーなライフスタイルを実践できる人といえるでしょう。いずれにしても、実質的な航続可能距離が150~200km以上で価格が300万円を切るような、魅力あるEVのバリエーションが増えることが、本格的なEV普及の大前提といえるかも知れません。 (寄本好則/三軒茶屋ファクトリー)