電気自動車はそろそろ「使えるクルマ」になってきたのか?
疑問2:充電場所が少ないでしょ?
「EVは充電場所が少ない」という批判もよく聞きます。そもそも、市販EVは家庭用の200V電源があれば充電できるので、外出先で利用する「急速充電」の施設が少ないという不満でした。でも、この懸念に対する答えも「ノー」。ことに日本では「急速充電スポットが少ない」という批判はもう的外れというしかありません。 日本が提唱する規格で急速充電施設の整備を進める『チャデモ協議会』の発表によると、2016年1月現在、で日本国内の急速充電スポット数は5960か所。全国の市町村数がおよそ1700なので、単純計算ですべての市町村に3~4か所の急速充電器がすでに整備されたことになります。例えば、2013年に私が急速充電だけで日本一周した時のコースでは、北海道の倶知安町と八雲町を結ぶ約110kmが急速充電器間の最長距離でしたが、今では途中のニセコ町と長万部町にも設置されています。 ちなみに、2013年10月のスポット数は1759か所でした。経済産業省が補助金を設けて普及を後押ししたこともあり、わずか2年で一気に3倍以上のインフラが整いました。今では、高速道路のサービスエリアには急速充電器があって当然。ファミリーマートが全国650以上の店舗に急速充電器を設置したり、道の駅への充電器設置も急ピッチで進んでいます。 今後、EVが増えてくれば高速道路のサービスエリアで充電待ちが多発するのではといった懸念はありますが、現状では盆や正月、大型連休など大渋滞が発生しやすい時期以外には、充電待ちに出くわすことはほとんどありません。
疑問3:充電に時間がかかるでしょ?
この疑問への答えは「イエス」です。大容量電池を搭載しているEVの充電時間が長いのは、どうしようもありません。家庭でのEVへの充電は200Vの専用コンセントで行いますが、通常、電流は15A。つまり、1時間当たり200V×15A=3.0kWの電気を入れることしかできないので、30kWhの電池であれば「0」から満充電にするためには10時間かかります。日常的に電池残量10~20%程度から90%程度まで充電するとしても、7~8時間は必要です。 急速充電の場合は、使用している電池の特性などによってさまざまなケースがありますが、おおむね、電池残量10%程度から80%まで充電するのに30分ほどかかります。ガソリンなどの給油であれば5分もあればできますから、EVは「充電に時間がかかる」のは事実です。また、先に説明した航続距離の問題もあり、現状のほとんどの市販EVで高速道路をロングドライブする時は、サービスエリアごとに止まって15~30分程度の充電を繰り返す必要があります。 「面倒だな」と思うでしょうが、慣れてしまえばそれほど苦痛ではありません。むしろ、たとえば東京-大阪を一気に走るようなロングドライブでも「必然的に何度も休憩することになるから疲れにくい」という副次的なメリットがあります。いずれにしても、今までのエンジン車と決定的に違うのが「給油」と「充電」の時間感覚。EVは「慣れ」が必要な道具であるのが現実です。