これもサッカーの醍醐味。アメリカで起こった「交代の交代の交代」という珍事を紹介
ルール改正が生んだ前代未聞の交代劇
ここでいくつか疑問が生じる。なぜDFに代えてGKを投入したのか。実は、PK戦に備えてGKを投入したわけではなく、120分の最後のワンプレーで192cmのGKコロネウをフィールドプレーヤーとして投入して決勝点を狙ったのだ。結局、ゴールは生まれず、コロネウはPK戦でもGKを務めなかった。 続いての疑問は、実際にこれだけ多くの交代が可能かということだ。実は、近年のルール改正がなければ、この珍事は起きていなかった。NYレッドブルズは90分間のうちに交代枠5名を使い切っていたため、従来のルールなら延長戦の交代は認められなかった。しかし、延長戦では交代枠が1つ追加されるようになったことで、6枚目のカードを切ることができた。そして、それがバークの「脳震盪による交代」だったため、通常の交代枠としてカウントされず、NYレッドブルズは7回目の交代を行えたのだ。それにより、イヤウッドからバーク、バークからノシタ(脳震盪による交代)、ノシタからコロネウ(延長戦で追加された交代枠)という前代未聞の「交代の交代の交代」が実現したのである。 実は、この試合は日本のファンも耳にしていたはずだ。というのも、対戦相手であるシンシナティの先制ゴールを決めたのは、日本代表経験を持つFW久保裕也なのだ。彼の今季初ゴールということで一部の日本のメディアにも取り上げられたが、その試合中に信じられないような珍事が起きていたのである。