銀行、プライベートクレジットに積極参入-巨額資金投じる用意
(ブルームバーグ): 急成長を遂げるプライベートクレジットに融資案件を奪われていた大手銀行は、この業務に自ら参入するさまざまな方法を見つけ、多くの資金を準備している。
何年もの間、ダイレクトレンダー(直接融資業者)が顧客を引き寄せ企業向け融資業務を吸い上げることで既存の金融機関の地位を奪うという脅威があった。米国の大手金融機関は今、競争を回避できないのなら、積極的に競争に身を投じることを決めたようだ。
ブルームバーグの分析によると、ゴールドマン・サックス・グループ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなどの銀行はここ数カ月で500億ドル(約7兆8000億円)以上の資金を集め、プライベートクレジットに投入する計画を発表した。ブルームバーグは、JPモルガン・チェースの資産運用部門がプライベートクレジット会社の買収を検討していると報じている。
JPモルガンのダニエル・ピント社長兼最高執行責任者(COO)は今月プライベートクレジットについて投資家に、「無視することはできない。われわれはそれを本当に受け入れ、市場に参加するための適切なポジションを確保する必要がある」と語った。
多くの銀行が数十億ドル規模の取り組みを掲げているが、そのアプローチはさまざまだ。自社の資産運用部門の中にプライベートクレジット事業を構築したところもあれば、自社バランスシートから資金を確保したところもある。他の企業と提携し、借り手と資金、あるいはその両方へのアクセスを提供する銀行もある。
プライベートクレジットへの進出が深まるにつれ、銀行が行内に抱える従来型の融資部門と競合する可能性もある。しかし場合によっては、銀行が自ら資金を提供した後、公開市場で債権を売却できないというリスクを負うよりも、年金基金や保険会社などの投資家から資金を調達し融資を行って手数料を稼ぐ方が利益になるかもしれない。
また、プライベートクレジットに参入する戦略は、借り手に銀行が異なる選択肢を提供することを可能にし、他の金融業者に顧客を奪われるリスクを減らすことにもつながる。