フジロックで奇跡を起こした「ワタル」が語る、ザ・キラーズとの共演秘話とこの先の人生
Napeとしての音楽活動とこの先の人生
―ドラムを始めたのはいつ頃ですか? Wataru:高1とかです。文化祭に出られる枠があって、バンドを組みました。 ―そこでなぜドラムを選ばれたんですか。 Wataru:多分、余ってたからというのと(笑)、ゲームセンターに通っていた時期があって、太鼓の達人をやっていたこともあるかもしれないです。 ―太鼓の達人が上手だったんですか? Wataru:一番難易度の高い鬼もクリアできるかな、くらいです(笑)。 ―すごい! Napeはいつ始められたバンドですか? Wataru:原型は高校生の時からあったんですけど、本気でやり始めたのはここ1年くらいですね。高校生の頃はオリジナル曲をやってなくて、THE BLUE HEARTS、グリーン・デイ、blink-182とかをコピーしてました。紆余曲折を経て今の2人になって、フィーリングの合うベーシストを探してる段階ではあります。 ―じゃあこの記事を読んでNapeでベースを弾きたいという方と出会えるといいですね。 Wataru:そうなっていただけると非常に嬉しいですね。 ―どういう想いがあって、1年前に本格的にやり始めたんですか? Wataru:大学に入ってから一旦解散みたいな感じになっていて。自分は曲を作ることが好きだったので、一人で曲を書いて出してということを自分の周りの範囲内でやっていたんですけど、やっぱり曲をもっと外に出したいなと。一人だとDTMで曲を作っていたので、電子音楽もいいけど、やっぱりずっとバンドに憧れがあるし、ライブをやることを考えるとダイナミックな生演奏の方がいいなと思って。 ―高校の時からドラムを叩きながらボーカルもやられていたんですか? Wataru:そうですね。高校の時はスリーピースでやっていて、全員変わりばんこでボーカルをやってました。 ―今Napeとしては、どういった音楽を作りたいと思っていますか。 Wataru:普遍的でポップなロックを作りたい、という想いはずっとあります。それこそザ・キラーズでいうなら「Read My Mind」みたいな、いつ聴いても、どんなシチュエーションで聴いても、かっこよくていいという曲をたくさん作りたいです。そういった曲を集めて、それをデカい場所で披露できるバンドになりたいです。 ―Napeの「Sentiments」を聴いて、私が抱いた印象としては、UKロック愛が伝わってくるけど、ちゃんとJ-POPとして日本でたくさん愛される音楽を目指しているのだろうなということで。アリーナやスタジアムで演奏できるバンドになっていきたいという想いがありますか? Wataru:そうですね。そこは隠す必要もないのかなと思います。 ―今、新曲も作ってますか? Wataru:はい。レコーディングもちょくちょくやっていて、曲がたまってきています。個人的な価値観としては新しい要素も混ぜた方がいいと思っているので、たとえばタイラー・ザ・クリエイターとかを聴いて、かっこいいなと思ったビートを取り入れてみたり。そういうことをしながら、時代を前に進められるようなJ-POPを作れたらという考えでやっています。 ―同世代や上の世代で、そういった活動の仕方として憧れるバンドというと? Wataru:最近だとw.o.d.とかめちゃめちゃかっこいいなと思ったり。スピッツ、King Gnuとか、その辺りのバンドはやっぱりかっこいいなと思います。 ―昨日、カラコルムの山々(昨年、フジロック内の新人アーティスト登竜門ステージ「ROOKIE A GO-GO」に出演)をインタビューしていたのですが、つながりがありますか? Wataru:あ、はい。大学の後輩です。彼らみたいに新しい音楽を次々と発明していく天才魔術師のような人もいると思うんですけど、自分たちはそうじゃないので、そこに最大限のリスペクトを払いながらも、違うことをやって前に進みたいなと思っています。 ―Napeは、どういうものが得意だと自覚しているのでしょう。 Wataru:なんというか……もうちょっと「ダサい」ものの方が得意だと思います。 ―ダサい。それは大事な言葉な気がしますね。 Wataru:「恥じらいなくポップ」というニュアンスで「ダサい」という。離婚伝説さんもインタビューで「ダサいくらいがかっこいい」とおっしゃっていて、深く共感した記憶があります。ポップであることに対して斜に構えずにやっていきたいです。 ―かっこいいです。こうやってWataruさんをメディアに引っ張り出してる人間が言うのもおかしいですけど、今回急に大きな注目を集めて、いろんな人に声をかけられたりして、焦る気持ちも出てきたりするかもしれないですけど……どうか焦らず、ゆっくり「自分の音楽」を見つけていってほしいなと思います。 Wataru:ありがとうございます。ファンの一人としてステージに立っただけなので、特に自分の行動や生活が大きく変わるわけではないんですけど、Xでいろんな方から反応をいただいて――坂東祐大さん、蔦谷好位置さんとかもつぶやいてくださっていて、あれはびっくりしましたね。興奮しました。 ―私がポストした次の日にメールをくださったじゃないですか。それはどういう想いからでしたか? Wataru:取材していただけるのだったら取材していただきたいなと思って。ザ・キラーズに関連するコンテンツが増えれば増えるほど、今回の来日公演自体や、自分がステージにお邪魔させていただいた意味が大きくなるだろうという想いもありました。今回自分から「バンドやってます」とアピールするのはちょっと違うなと思って、SNSとかでは自分たちで何も投稿しないようにしていて。ただ自分に関する様々な噂が口コミで広がっているのが見えたので、いい形で情報にしてくださる方が取材をご希望されているならお願いしたいと思ってご連絡させていただきました。 ―とても嬉しかったです。今日こうしてお話させてもらってWataruさんの謙虚さも感じさせてもらいつつ、あのメールからも、Wataruさんの行動力とか、怖気付くことなく、めんどくさがることもなく、チャンスに手を伸ばす方なのだと感じました。 Wataru:ありがとうございます。 ―バンドメンバーのIsseiさんは、今回のことについて何ておっしゃってますか? Wataru:号泣してました。自分の隣で矢印の形の厚紙を持っていたのは彼で。なんで号泣してるのか自分にはよくわかんなかったですけど(笑)。優しい子なので。嬉しかったですね。 ―いい話ですね。Napeとしての今後の予定を、これを読んでいるみなさんへお知らせください。 Wataru:秋になる頃かその前くらいには新曲を出したいなと思っています。ライブの予定は8月も9月もあるので、ぜひ来ていただきたいです。今はまず、ライブハウスをどんどん埋めていくことが目標です。
Yukako Yajima