フジロックで奇跡を起こした「ワタル」が語る、ザ・キラーズとの共演秘話とこの先の人生
「選んでもらえる」と確信した瞬間
―メールをくださって本当にありがとうございます。フジロックは3日間とも行かれていたんですか? Wataru:こちらこそありがとうございます。金曜だけ行って、土曜の朝に新幹線に乗って帰りました。 ―ザ・キラーズのステージでWataruさんがドラムを叩いたシーンは、私も現場で見ていて本当に感動しました。どんな気持ちであの日を迎えられましたか? Wataru:ザ・キラーズの大ファンとして、フジロックの大トリという超重要イベントを必ず盛り上げなければならないという強い想いで臨みました。2年前くらいにLAまで行って彼らのライブを観たんですけど、その時、自分の前にいた学校の先生みたいな人が選ばれて演奏したんですね。それがすごくスリリングで。しかも上手かったので、すごく盛り上がったんです。それは他の国でもやっているパフォーマンスであることを知っていて、これを日本でやったら本人たちも喜んでくれるんじゃないかと思って。 ―完璧なプレイをやって、演奏後に自分のスマホで写真を撮るところまで、きっと何度もイメトレをされて当日を迎えられたのだろうなと思いました。いつ頃から自分がザ・キラーズのステージに上がることを妄想されていたのでしょう。 Wataru:ザ・キラーズが発表される前はフジロックのチケットを買ってなかったので、ザ・キラーズが発表された1カ月ちょっと前(6月13日)にまず参加することを決めました。せっかくの来日公演で大舞台なので盛り上げたいなと考えた時に、自分にできることはドラムを叩くことなのかなと思って、発表された瞬間から構想を持っていました。ただ、ショーを私物化したり利用したりすることになるのではという強い葛藤もあったんです。でも友人や家族、X(Twitter)でのファンの方のお言葉に後押しされて、約2週間前から具体的な準備に取り掛かりました。 ―当日、ザ・キラーズのライブが始まってから「For Reasons Unknown」までは、どんな気持ちでしたか。 Wataru:ライトが落ちて暗くなった時は、もう本当に、腕がしびれるくらい緊張してました。「こんなに電飾とかもつけて準備したけど本当に選んでもらえるかな」「本番でミスったら嫌だな」とか、そういうことばかりが頭の中を巡ってました。1曲目の「Somebody Told Me」が終わって、2曲目辺りで電飾をつけるようにしたんですけど、すでにそこでブランドンがこっちを見てめっちゃニコニコしてくれていて、「これは絶対に気づかれてるな」と思って。 ―そこから余計に緊張が込み上げてきませんか? 自分がステージへ上がることに現実味が帯びてくると――。 Wataru:ああ、でもそこからはあんまり緊張しなかったですね(笑)。「選んでもらえるな」と思ってしまったので、そこからはあんまり緊張しなかったです。 ―実際に呼ばれた瞬間は――。 Wataru:もう「行くぞ」という感じでした。 ―興奮と気迫が溢れた表情をされていましたよね。 Wataru:あとから自分で動画を見返すと、ブランドンにブチギレてるみたいな表情をしていたので、ちょっと恥ずかしいですね(笑)。