「投資誘う著名人なりすまし広告を放置」 メタを一斉提訴、5地裁で
著名人になりすまして投資を誘うSNS広告を放置したとして、首都圏や関西などに住む29人と1法人が29日、フェイスブック(FB)やインスタグラムを運営する米メタと日本法人(東京)に総額約4億3千万円の賠償を求めて、大阪と神戸、横浜、千葉、さいたまの5地裁に一斉提訴した。 【写真】著名人なりすまし広告詐欺被害のイメージ 4月の神戸地裁に続く2次提訴。8人が提訴した大阪ではこの日、弁護団が会見を開いた。 原告らは、実業家の堀江貴文氏や前沢友作氏らの写真・名前が使われたFBやインスタで虚偽広告を見てLINEに誘導され、現金をだまし取られたと主張。1人あたりの被害額は、最大で約1億600万円に上るという。 同様の詐欺被害が広がる中、名前を悪用された著名人らも注意喚起していたと指摘。広告を掲載する側には「広告が真実か疑う特別の事情があり、被害を予見できる場合は内容を調べ、虚偽広告を提供しない義務がある」とした最高裁判例を踏まえ、メタ側に賠償責任があると訴えた。 一連の訴訟で弁護団長を務める国府泰道弁護士は「メタ側は問題広告から多額の収益を上げている。法規制につなげるためにも、違法性を明らかにしたい」と話した。被害相談はまだあるといい、3次提訴も検討しているという。 ■米メタ「広告の真実性、調査の義務ない」 一方、米メタ側は、神戸地裁での先行訴訟で、「日本法上、SNSプロバイダーは(問題のある)投資広告を網羅的に検出したり、その内容の真実性を調査・確認したりする義務はない」などと主張。仮に義務があったとしても「詐欺広告だと知ることはできなかった」とした。
朝日新聞社