浦和学院、驚異のフルスイング 追い込まれてもひるまず センバツ
第94回選抜高校野球大会は第9日の28日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で準々決勝があり、浦和学院(埼玉)が九州国際大付(福岡)を6―3で破り、準決勝に進んだ。試合を決めたのは4番の鍋倉和弘(3年)の一振りだった。 【手に汗握る熱戦 浦和学院vs九州国際大付を写真で】 ◇ 鋭い打球が右翼ポール際に向けて一直線に伸びた。同点とされた直後の八回。浦和学院の4番・鍋倉が勝ち越し3ランを放ち、試合を決めた。一塁を回るとガッツポーズした鍋倉は「詰まったと思ったけど、よく伸びてくれた」と自画自賛した。 森大監督がテーマにしてきた打撃は「緊迫した場面で一本の長打を打つ」。鍋倉もたった2球で追い込まれたが、最後までフルスイングを貫き、内角に甘く入った直球を仕留めた。六回にも2番・伊丹がソロ本塁打を放ち、この試合が終了した時点で大会通算5本塁打のうち4本が浦和学院という破壊力だ。 なぜ、アーチを量産できるのか。チームは昨夏の甲子園を最後に森士(おさむ)前監督が退任し、長男の森大監督が引き継いだ。投手出身の新しい監督は「バットを振り切られると、投手は恐怖心が芽生える」という現役時代の実体験を踏まえ、「超攻撃野球」を掲げた。「バットを振り切ることで長打が生まれ、野手の間をボールが抜けていた」と、昨夏の甲子園で優勝した智弁和歌山の強力打線などが手本になった。 ただ、やみくもに強振するだけでは成長しない。冬場は木製バットを使い、バットの芯で捉える技術を体に染みこませた。紅白戦を積極的に組んで実戦感覚を磨き、打者は追い込まれても直球と変化球の球速差に惑わされないように対応力を高めた。だから、九州国際大付の左腕・香西が最大で約30キロ差の緩急をつけても、鍋倉らは動じずにはじき返すことができた。 「1点でもいいから返すつもりで自分の打撃を心がけている」と鍋倉。森士前監督は監督として初出場だった1992年春にいきなり4強入りしたが、新体制はそれに並んだ。長打力が際立つチームは、9年ぶりの頂点も視野に入ってきた。【川村咲平】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。