パートナーが買った食材、使えず廃棄 家庭から出る食品ロスの実態は
2022年度の1年間で発生した食品ロスは472万トン(推計値)と発表されました。その半分は私たちの家庭から出ていて、1人あたりに換算すると年間20キロ近くになります。普段、どのように食品ロスが出ているのか。その実態と、対策のヒントを探ります。 【写真】家庭ごみから出た手つかずの食品=環境省提供 家庭から出ている食品ロスの主な原因は大きく二つ。調理しないまま捨ててしまう「手つかずの食品」と「食べ残し」だ。 昨年から一人暮らしをしている愛知県の女性(38)は、料理の勉強と節約のため自炊を始めた。作りたい1品があり、まとめ売りのキュウリを購入してみたが、その後が続かず数本を腐らせてしまった。「申し訳ない気持ちになる。暖かくなって、冬場より食材が腐りやすくもなった」と話す。 仙台市が2019年に市民605世帯に食品ロスを5週間記録してもらった調査では、手つかずの食品のうち半数を占めたのが野菜と果物だった。次いで豆腐や納豆、牛乳・乳製品と続く。 「野菜は劣化が早い上に、洗ったり皮をむいたり調理に手がかかるので、冷蔵庫にあっても使おうとするハードルは高い」と野菜ソムリエ上級プロの高崎順子さん。使うことが後回しになって冷蔵庫に残り、腐らせて食品ロスにつながってしまうという。 野菜をできるだけ新鮮に保つには、保存時に適切な温度と湿度にすることが重要だ。袋詰めの野菜がいくつか余った時、袋の口を開けたまま冷蔵庫に入れていないだろうか。高崎さんは、袋の口を閉じて保管することをすすめる。購入時の袋がテープでとめられていた場合はテープのみを切って外せば、再び口を閉じることができる。野菜をキッチンペーパーで包むなどするとなお良い。 1人ではなく同居人や家族など複数で食事や買い物することで出てくる食品ロスもある。 都内の女性(37)は、共働きで、夫と4歳の息子の3人で暮らしている。休日に食事作りを担当する夫は、よくごちそうを作ってくれる。ある日ラザニアを作ってくれたが、チーズが余った。平日の食事作りを担当する女性は時間がなく、チーズを使うようなオーブン料理ができなかった。半袋ほど残っていたが、賞味期限が大きくすぎて捨てることに。「自分で買っていないので意識の外だったのもある」と話す。
朝日新聞社