藤井聡太叡王が伊藤匠七段に屈して七冠に転落…V4ならず
将棋・第9期叡王戦五番勝負第5局が20日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で指され、藤井聡太叡王=竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖と合わせて八冠=は後手番の挑戦者・伊藤匠七段に敗れ、シリーズを「〇●●〇●」の2勝3敗で落とし、七冠に転落した。 開幕白星から伊藤にタイトル戦では初となる2連敗を喫し、土俵際に追いやられた八冠王。負ければ七冠への後退は第4局(先月31日)と変わらない状況で、連勝による逆転を期したが、同い年の伊藤の意地に屈した。自身が持つタイトル連続獲得記録は22期で止まった。 振り駒の結果、先手は先手は藤井に。これまでの4局と同様に角換わりで進行し、お互いに手駒にした角打ちや桂頭への歩打ちでがっぷり四つ。しかし、昼食休憩前に伊藤は持ち時間(各4時間)の約半分を費やしてしまい、タイムマネジメントで苦戦した。 藤井は伊藤玉の周辺を積極的かつ的確に攻め続けて一時は優位に立ったが、伊藤に反撃され、持ち時間も逆転されて1分将棋に。伊藤ものちに1分将棋に陥り、互いにシビアな戦いが続いたが、9九の自玉周辺を崩されて力尽きた。 一方、藤井と同学年の伊藤は悲願の初タイトルで、21歳8か月で獲得は郷田真隆九段(92年9月・王位戦)の21歳5か月に次ぐ歴代8番目の年少記録。藤井一強時代に風穴を開け、新風を吹き込んだ。 しかし「藤井七冠」には悩む暇はない。棋聖戦五番勝負は山崎隆之八段に2連勝中だが、7月1日に第3局(VS=愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」)が待つ。同6、7日には渡辺明九段を迎え撃つ王位戦七番勝負第1局(名古屋市「徳川園」)も控える。令和の天才にとって、試練の夏となりそうだ。
報知新聞社