勅撰和歌集に245首、和歌の天才・和泉式部 恋多き女性のイメージだけど… 細かい技巧も持ち味
紫式部が主人公の大河ドラマ「光る君へ」。紫式部が仕えた彰子さまのもとには、赤染衛門や和泉式部といった知的な女房たちも出仕していたといいます。和歌の天才とも呼ばれる和泉式部はどんな人だったのか、平安文学を愛する編集者・たらればさんに聞きました。(withnews編集部・水野梓) 【画像】「光る君へ」たらればさんの長文ポスト 放送の1年「情緒がもつのか…」
見事な和歌をたくさん残した和泉式部
withnews編集長・水野梓:大河ドラマ「光る君へ」では、まひろ(吉高由里子さん)と、あかねと名乗る和泉式部(泉里香さん)が四条宮の女房達の勉強会で出会っていましたね。 和泉式部というと、恋多き、なまめかしい女性というイメージがあります。ドラマでもそのイメージ通りに描かれていたような……。 たらればさん:和泉式部といえば、艶っぽい恋の和歌をたくさん残していて、「色気を振りまいて恋の浮名をたくさん流した女」というイメージですが、個人的には「実際の和泉式部は、恋愛のことばかり考えていたわけではなかった」と思うんですよね。 水野:そうなんですか。 たらればさん:和泉式部の歌って、感覚的でもあるんですが、論理的でもあります。言葉の使い方がとても巧みで多彩。作品数も多くて、これを成立させるには大変な勉強量が必要です。 だから実は「創作」に対して真面目で一途、トライアンドエラーを繰り返した人じゃないかなと思うんです。 ふわふわして相手の男のことばかり考えていたら、これほど見事な作品を数多く作る時間や技術は得られないと思うんですよね。 水野:それはイメージと違いました。パッと考えずに歌が口をついて出てしまう人なのかと…。 たらればさん:実体験が華やかすぎて波乱万丈すぎるのですが、そのいっぽうで、歌の可能性を追求し、ひたむきに努力した人だったのではないかと思います。 『源氏物語』には和泉式部の和歌からの影響も指摘されているので、『光る君へ』の作中でもっとじゃんじゃんまひろと交流してほしいです。ふたりでいろんな話をして、もっと影響し合ってほしい。