シャオミ初の自動車、1500馬力超の公道レーサーへ 量産EV最速を狙う新型「SU7ウルトラ」発表
SU7の高性能バージョン
中国の携帯電話メーカー、シャオミ(小米)は、ポルシェ・タイカン・ターボGTよりもパワフルな高性能EVセダン「SU7ウルトラ」を発表した。 【写真】中国スマオ大手シャオミが作るEVセダン【シャオミSU7を写真で見る】 (24枚) 既存のSU7をサーキット走行に特化させたモデルで、ドイツのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおけるEVのラップタイム更新に挑戦するために設計された。タイカン・ターボGTの7分5秒55を上回ることを目指している。 リアアクスルにはシャオミの新しい電気モーター「V8s」が2基搭載され、それぞれ578psと、64.7kg-mのトルクを発生する。フロントには「V6s」モーターの強化バージョンが搭載され、合計出力は1548psとなり、タイカン・ターボGTより440ps高い。 シャオミによると、SU7ウルトラは0-100km/h加速1.97秒、0-300km/h加速15.07秒、最高速度350km/hを達成するという。 また、APレーシング・ブレーキとピレリPゼロ・タイヤが装備され、100-0km/hの制動距離は25mとなる。 車重1900kgで、ツーリングカーのようなカーボンファイバー製ボディキットにより最大2145kgのダウンフォースを発生し、コーナリング性能を向上させるという。 写真のプロトタイプは、10月にニュルブルクリンクで非量産EV記録(フォルクスワーゲンID.Rが樹立した6分5秒336)に挑戦する。量産型による挑戦は来年に行われる予定だ。
中国企業が与えるインパクト
シャオミの自動車業界への参入は、世界に波紋を広げている。今年初めのSU7発売時には、同社の店舗の前に行列ができたという報道が流れ、シャオミは受注開始から30分で5万台の予約を受けたと発表した。 今年初めにAUTOCARの取材に応じたルノー・グループのルカ・デ・メオCEOは、こうした中国企業に対する印象を語った。シャオミという特定の企業名は避けながら、「中国にはクリエイティブな才能が存在します。役に立たないクルマもあるが、素晴らしいクルマもある」とした。 「ポルシェ・タイカンのライバル車を作った会社の人に会いました。彼は携帯電話を作っており、クルマへの情熱はなくプロジェクトを始めたことを認めました。しかし、彼は製品をしっかり作るために70台以上のクルマをテストしたそうです」 「わたしも試乗してみましたが、おかしなところは1つもありませんでした。彼はそれを3万5000ユーロ(約595万円)で売る準備をしていたんです! そんな男に何と言えばいいのでしょう? 売るなと言うのですか? もちろん、そんなことはしません。わたしはよくやったと言うでしょう。フランス人風に言うなら “シャポー(脱帽だ!)” ですね」 シャオミは、7月19日の時点で3万台を納車したと発表した。11月までに10万台の販売を目指している。
マーティン・バックリー(執筆) 林汰久也(翻訳)