美容外科が、がん治療にまで進出...「免疫療法は最先端のがん治療である」という危険すぎる誤解
自由診療を規制すべきか
こうした自由診療を「規制すべき」と語るのは、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科の勝俣範之氏だ。 「たとえエビデンスのない治療法であっても、医師免許さえあれば、法外な金額で「治療」と称して提供できてしまいます。なかでも危険なのが、ここ数年で増えてきた美容外科での、がんの自由診療です。 なぜ美容外科が、がんの自由診療に乗り出してきたのか。それは、がんのほうが訴訟が圧倒的に少ないからです。美容は治療がうまくいったか、いかなかったのかがはっきりとわかります。一方、がんは効いているのか、効いていないのかよくわからず、訴訟に発展しにくい。医師免許は性善説にもとづいて設計されています。こうした自由診療を野放図にしておくのは危険でしょう」 「先進医療」にも、過度な期待を持つことは禁物。治療行為としては認められているものの、保険は効かない自由診療だ。勝俣氏が解説する。 「たしかに先進医療は政府が認めた治療ではありますが、あくまでも研究という形で承認しているのであって「優れた最新の治療」という意味ではありません。厚生労働省のホームページには、がんの先進医療だけで100以上も登録されています。しかし、その先進医療の研究結果が良好で、科学的根拠があると認められ、保険医療になる割合はわずか6%に過ぎず、ほとんどの先進医療は効果を確認できていません」 後編記事『がんの自由診療を選択した人に待ち受ける治療効果以外の「思わぬ罠」』へ続く。 「週刊現代」2024年11月30日号より
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