岡山のバス会社、「日本最安」運賃100円でなぜ黒字 「安かろう悪かろう」ではない工夫とは?
宇野社長は、こうした日本最安値の運賃を維持し続けられる理由について「安い運賃にすることでより多くのお客様にご満足いただいてバスに乗っていただけること」、「さらに繰り返し宇野バスをご利用いただくための努力や、コストを下げるための努力を本当に一生懸命にやっているからだ」と力説する。 さらに宇野バスは、自治体からの補助金を一切受けていないことも大きな特徴だ。これについて宇野社長は、いくらバス事業が公共性のある事業だからといっても「自由競争、公平原則の自由経済の理念から、企業は自立して経営されねばならないという信念があるから」だと話す。
仮に、補助金を受け取ってしまうと、経営に対して自治体からの制約が生じ、経営判断の足かせになることや、企業努力を怠るようになるなどといった副作用が出てしまうことが心配されるという。 こうしたことから、岡山市が主体となって2022年度と2023年度に行った路線バス無料デーについても、2023年度においては宇野バスにおける売上相当分の補助金を市から受け取らなかった。2022年度に関しては、岡山市から路線バス無料デーの売上相応分の補助金を受け取っているが、この補助金分については2023年の7月と12月の計2回、宇野バスが独自に路線バス無料デーを実施することによって社会に還元し、事実上、補助金を受け取っていない形とした。
宇野バスは、車両の低床化についても独特の取り組みを行っている。近年では、バリアフリーの観点からバス車両の低床化が求められる時代となり、一般的なバス会社では新たにノンステップバスを導入することで、バス車両の低床化を実現することが通常だ。 しかし、宇野バスでは既存の高床バスのタイヤを小さいものに履き替えることでバスの車高を下げ、低床化を実現してしまった。タイヤの小型化により車高を7~8cm下げることに成功したという。タイヤの小型化による低床化を実現するにあたっては、タイヤだけではなくギア比を変える作業も必要になったというが、それでも当時宇野バスが所有していた72台のバスの低床化を約2000万円の費用で実現できた。