謎の絵、部屋のレイアウト…アパホテル、東横インなどビジネスホテルでも「高級」に感じる“衝撃の理由”
ビジホ愛用者のアパ派かトーヨコ派か問題
「大手旅行会社のグループ会社など、アメニティやステーショナリーをまとめて取り扱っている会社は多くあり、ホテルはそうした事業者やアーティストのエージェントからアートを仕入れていることが多いと思います」 好みが大きく分かれにくいためか、ビジネスホテルに限らずホテルでは現代アートを取り入れられる傾向が強いそうだ。 「先ほど多くの人が利用するビジネスホテルでは、「基本的に強烈な個性は出さない」と言いましたが、アパホテルは少し例外で特徴的な柄の壁紙を使っている代わりに、絵画などはかけられていなかったと思います。 アパはお金かけるところとお金かけないところのメリハリが上手で、高級感を演出が細かく、巧みなんです。天井を高くとり、鏡で実際よりも広く見せて、ビジネスホテルには珍しいシャンデリアを取り付けているロビーもですが、客室も同様ですね。 ビジネスホテルの中でもコンパクトなタイプですが、天井とベッドが高く、高級ホテルで一般的なフットスローという備品を使い、高級感を出しています。土地やビルの形に合わせてホテルをつくるという考え方なので、意外と客室のレイアウトも変則的で、いろんなタイプがあります」 この4月に初出店から40年かけて47都道府県を制覇したニュースも報じられた東横インが、駅前・駅近にこだわり部屋の広さもレイアウトも統一させているのとは、対照的でおもしろい。 「リブランド後にできた新しい東横インの客室は、ロゴと同じブルーと白を基調の内装になっています。アパも東横インも社長さんは女性ですが、個人的な印象ではアパホテルの“アパオレンジ”と言われるエルメス風のオレンジに対して、東横インはティファニーのブルーできたなと感じました」 多くの会社で出張経費として認められる価格帯は、一般的に1泊1万円前後とされている。価格変動型のホテルが多いなか、東横インは年間を通じて大きく価格を変動させない「原則ワンプライス制度」で、男性会社員などから長く支持されてきた。 「東横インには電車や新幹線が見えるトレインビュールームという部屋があり、これは東横インでしか全国展開できないサービスです。ホテル未経験者の女性を積極的に支配人として採用する取り組みもされていましたが、ロビーでの「いってらっしゃいませ」「お帰りませ」という声がけからも、家庭的な雰囲気を大切にされているように思います」 ホスピタリティの裏にある各ブランドの特色を抑えておくと、より楽しい滞在になりそうだ。
伊藤 綾(ライター)