ライオン・キング並みのロングランで得したのは?異例ずくめの「総裁選」で見えた自民党の焦りっぷり
――そうですよね。ダメなところも見えてしまう。 候補者はみんな政策やビジョンを用意してきて、ベストを尽くしてやっている。総裁選の場合は知名度を上げられるし、成長もするという点で、何度も討論会に出るのは政治家にとっていいことだらけだろう。 ――今回、事実上派閥がなくなりましたが、この影響は。 これはすごい影響だ。今までなこんなことがなかったから、議員たちはみんなかなり自由にやっている。だから今後、これまでの派閥とは違う新しいグループができる可能性がある。
例えば、今回小林氏を支持している人たちは政界では若手と言われる40代、50代が中心。この人たちはもともと派閥が違う人たちが多いが、小林氏を応援するという絆で結ばれている。 政治家になるような人たちが、自由に動くというのは、どういうことなのか。みんな勝手なことをするわけだ(笑)。今回、生き生きとしている感じをもし受けているのだとすれば、今回はかなり議員たちが、自由にやっているということだろう。 ■決選投票前の空気はなかなか異様
――今回の総裁選は1回目の投票で誰かが過半数を取るのは考えにくく、決選投票になるのは確実とみられます。決選投票では何がポイントとなるでしょうか。 決選投票のカギは議員票だ。もっと言うと、麻生太郎元首相、岸田文雄首相、菅義偉前首相の「キングメーカー」たちが最後に圧力をかけてくる。決選投票までの間に時間があり、みんな同じ会場にいるのでにらみつけたりとかして、圧力をかける。 ――すごそうですね。 もっとも、彼らは決選投票までもつれ込むことを見越して、早い段階から「決選投票では○○候補に」といった根回しを水面下で済ませている。そのうえで、決戦投票が行われ、会場で「お前、わかっているよな?」と睨みをきかせたりする。
――総裁選に先立ち、9 月 23 日に行われた立憲民主党の代表選では元首相の野田佳彦氏が代表に復帰しました。このことは総裁選にも影響を与えるでしょうか。 影響している。野田佳彦氏は首相経験者でもあり、もともと論戦に強い。一対一で論争したときに、自民党が論戦に弱そうな候補者だったらどうしようか、という心理も働く。 政治はすべてが影響し合う。世論、マスコミ、野党。そして、事件も関係する。例えば、中国の深センでの児童刺殺も大きな外交の課題になっているので、こういうことも間接的に総裁選に影響してくる。