ライオン・キング並みのロングランで得したのは?異例ずくめの「総裁選」で見えた自民党の焦りっぷり
――党員も参加するという総裁選の仕組みは自民党自体が決めたものなのですか? この仕組みはもともとなかった。自民党ができたのが1955年だが、このときにはない。それまでは国会議員しか投票できなかった。党員が参加するという方式ができたのは1978年で、最初は「予備選」と言っていた。ロッキード事件や政治不信もあって、もっと世論を反映しなければ、という声が上がったことが背景にある。 1978年の時には、予備選挙で、なんとそもそもトップになる予定だった現職の首相、福田赳夫氏が負け、対抗馬だった大平正芳氏が勝ってしまった。そこで、福田氏は結局辞退することになる。この時に「天の声には変な声がある」といったのは有名な話だ。
――ただそこから50年間はアップデートされていない? 仕組みはだいぶ変わっている。国会議員票と党員票の割合とか。今回は半々だが、これはすごいことだ。 ――その比率は誰が決めているんですか? これは党内で議論する。2013年の石破幹事長時代には総裁選から党員の票数が大幅に増え、2015 年から国会議員と同数になった。これにはそれなりに民意を反映させようという思惑があるのだろう。 ■政治と金も問題をかなり深刻に捉えている
――討論会などもいつも以上にやっているという話がありましたが、結構必死になっている感じなのでしょうか。 多くの討論会が行われていて、そのほとんどが動画で視聴できるようになっているのは、自民党がそれだけ政治と金の問題が深刻で、次回の選挙で負けると思っていた証だ。だから何とか出直しを図ろうとしているのだろう。実際、は初めてだ。自民党は次の選挙への環境づくりを進めているとも言える。 ただ一方で、これだけ長くやることによって、受け答えが安定している候補者や議論が弱い候補者が見えてきている。世間に晒されるというのは大きな試練だ。