韓国で感染拡大中 「MERS」ってどんな病気なの?
●対策は?
現時点で日本では、MERSの感染は報告されていません。そのため優先されるのは、感染のリスクが高い中東地域を訪れる人が十分な予防対策をとることです。厚生労働省は、気を付けるべきポイントとして次の点を挙げています。 《以下、厚生労働省サイトより抜粋・改変》 【旅行前】 ・糖尿病や肺の病気などの持病がある人は、旅行の前に医師に相談する。 ・渡航前に外務省の海外安全ホームページなどで現地の情報を確認する。 【旅行中】 ・こまめに手を洗う ・加熱が不十分な食品(未殺菌の乳や生肉など)や不衛生な状況で調理された料理をさけ、果物、野菜は食べる前によく洗う。 ・咳やくしゃみの症状がある人や、動物(ラクダを含む)との接触は避ける。 ・咳、発熱などの症状がある場合は、他者との接触を最小限にする。 【旅行後】 ・帰国時に発熱や咳などの症状がある場合は、空港にある検疫所へ相談する。 ・帰国後2週間以内に、発熱や咳などの症状により病院に行く場合は、事前に医療機関に・絡し、中東地域に滞在していたことを伝える。
●予防薬や治療薬はある?
新たな感染症と言うこともあり、根本的な治療や予防が可能な薬剤は明らかになっていません。発症した場合は、呼吸が苦しくなるのに備えて酸素を投与するなど、症状を緩和するための治療が行われます。
●今後どうなる?
6月3日現在、韓国では感染の拡大が続いており、予断を許さない状況です。現在、日本では感染が報告されていませんが、中東地域を含めた全世界からの旅行客が日本を訪れている中で、警戒を怠ることはできません。国は今年1月21日にMERSを「二類感染症」に指定しています。これにより、もし国内でMERSの患者が発生した場合、医師による患者の届出や、患者に対する適切な医療の提供などが、法律にもとづいて行われることになっています。 私たちにできることは、中東地域を旅行する場合は先述の注意点を守り、感染の予防や万が一にも感染した場合の適切な対応に努めること、また知り合いに中東を旅行した人がいれば、注意を呼びかけることです。 繰り返しになりますが、MERSはここ数年のうちにその存在が知られた新しい感染症であり、感染力の強さや発症した場合の死亡率さえも詳しくはわかっていません。必要以上に恐れることはありませんが、万が一自分の身近で発生した場合に適切な対応がとれるよう、最低限の知識を得ておくことが求められます。