松下奈緒 ターニングポイントは朝ドラ「ゲゲゲの女房」
ピアニストとしての顔を持つ一方で、女優としてその存在感を放つ松下奈緒。女優デビューしてから今年で10年。2004年のデビューから現在までを振り返ると、松下にとってのターニングポイントは「朝ドラですね」と話す。最高視聴率23.6%を記録し、“朝ドラ復権”に大きく貢献したと言われる『ゲゲゲの女房』でヒロイン役を演じた。この作品は松下の何に影響を与え、どのように今を形作っているのだろうか。 松下が女優という職業を意識したのは、小学生の頃に見た木村拓哉と山口智子が出演した月9の伝説的ドラマ『ロングバケーション』だった。「南ちゃんを演じた山口智子さんが可愛らしくて、憧れました。私自身3歳からピアノを習っていたので、(木村拓哉演じる)ピアニストの瀬名が弾く曲を自分でもピアノで弾いてみたり」と、懐かしそうに思い出す。 しかしすぐに女優への道には進まなかった。「それまでやって来たピアノを諦めて新しい挑戦をする勇気がなかったんです。音楽大学に行きたいという目標もあったので、一つを終えてからまた新しいことに挑戦してみようと思った。もう一つの夢である女優は、大学に入ってから」と、まずはピアノを極めようとする。 そんなバックグラウンドもあり、在学中の2004年に、天才ピアニスト役で女優デビュー。その後は、女優業のほか自身の出演作への楽曲提供など音楽家としての才能を発揮。一味違う新人として、徐々に知名度を上げる。そして2010年、転機が訪れる。漫画家・水木しげる氏の妻の自伝小説をベースにした、NHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」。松下はこれまでの10年を振り返り、この作品への出演がターニングポイントになったと言う。 ヒロインの村井布美枝役に大抜擢された松下。「デビューしてから5年目くらいの時にお話をいただいて、思ってもいなかったことなので最初は驚きました。(撮影期間の)10カ月の間、同じ役柄を演じるのも初めての事だったし、果たして自分が全うできるのかという不安と同時に楽しさもあって、複雑な気持ちの中で毎日を過ごしていました」と、当時の心境を語る。初めて尽くしのこと、体力的にもきつかったこともあったが「それがあったからこそ、『自分は朝ドラを全う出来たんだ』という自信に繋がりました。多くの人に自分の名前と顔を知ってもらえたきっかけにもなったし、未だに自分のおじいちゃん、おばあちゃん世代の方からも名前を呼んでもらえる」と、顔をほころばせる。