ピン芸人、友近さんは自分を甘やかす方法を知っている……人生のベテランに必要な大人の時間
カリスマキリンへの道
年齢を重ねてくると、自分を甘やかすことが課題になります。小さなころは親や親類、社会に出れば先輩など、かわいがったり、わがままを聞いてくれたりする人がいました。でも自分が中高年と呼ばれるようになると、気がつけば、それらの人は弱ったり、場合によっては亡くなられたりします。
それどころか全くキャラではないはずなのに、頼られたりしてしまう。人生のベテランは必ず自分の機嫌を取る術(すべ)が必要になるわけです。ピン芸人の友近さんの『友近の思い立ったらひとり旅』(新潮社)は、題名になるほどと思いました。もちろん、黒柳徹子さんの物まねも大好きです。
友近さんは地方のテレビ番組の出演後に1泊2日の旅に行くことが多いそうです。岐阜の下呂温泉、大分の日田温泉、山口の湯田温泉など心躍る地名が見出しに並びます。でも、この本のポイントは観光情報ではありません。もう若くはない働き盛りの人間が、一人で自分を甘やかす知恵が惜しげもなく載っていることです。
勝手にいくつか要約します。
食事を取った後に部屋に布団が敷いてあるのが好きなので、部屋食ではなく個室料亭が好き。
風呂上がりには瓶のサイダーとか、ちょっとシュワッとするものを飲んで23時には寝る。
日々の生活の中で、風呂をわかす、布団を敷く、シーツを換える、寝間着を用意するといった細々とした家事がわずらわしく、重荷に感じることはよくあるでしょう。友近さんは、旅を言い訳にして時にはそれらをさぼっていいのだと言ってくれているのです。
このようなものもありました。
仕事とプライベートが連動しているのが、私の一番の理想。
自分が心地よく息抜き出来る方法を知ったとき、おそらく完全な「オフ」の時間だけでなく、「オン」の時間でも細切れに「オフ」の気分を挟めるようになる。人生の達人は常に、快適な時間を味わえるようになるのです。