birdが抱く“歌への興味” 「デビュー当時と25年を経た現在の自身」を比べて思うことは?
動いているほうが曲が浮かびやすい
birdはデビュー当時と25年を経た現在の自身を比べて「歌にものすごく興味が出た」と語る。 クリス:昔は興味がなかったんですか? bird:好きっていうのはあるんですけど、「こうすればこういう声になるんだ」と、歌を振り返って検証するというか、分析をするようになりました。若いときはまっしぐらに歌って体力もありましたし、勢いだけで進めていけたことが、どんどん歳を重ねていくと無理も利かなくなってくるので。20代のように歌っていると壊れちゃうし。じゃあどうしたらいいのかなっていうのが、長くやっていると出てきました。今そういう意味では、すごく興味の対象としては大きくなってきているかなって。 クリス:声って楽器だから、この楽器はこうだってわかってきたってことですよね。20代だとわからないかもしれないですね。 bird:全然わからなくて、とりあえずもらったものを一生懸命に返すのにいっぱいいっぱいでした。「こうしたら痛めちゃう、こういう風に歌えばいいかな」と、考えながら。歌うときは全部忘れるんですけど、そこまでの過程を構築していく感じがおもしろいなと思いますね。 クリス:曲作りのプロセスは変わりましたか? bird:私は曲も作るんですけど、そんなにたくさんは作らないので。歌詞はずっと書いてはいるんですけど、作るっていうことに関しては、そんなに変わってはいないかなっていう気はしていますね。 クリス:曲が出てくるタイミングってありますか? bird:動いているほうが浮かびやすいですね。歩いているとき、お風呂に入っているとき、何か考えながら動いていると浮かびますね。それをまとめるみたいなことが多いですね。
どんどん前に足が進んでいくような楽曲
最近、birdがよく聴いているアーティストとして、南アフリカ・ヨハネスブルグ育ちのアーティストであるタイラを挙げた。 bird:私は普段、歩いたり走ったりするときに音楽は聴かないんですけど、すごく今年は暑かったじゃないですか。歩くのもつらいときに、これは音楽の力を借りようって思ってよく聴いていたのが、タイラのアルバムですね。テンポが軽快な感じで、アルバムを通して聴きながら歩けるので、どんどん前に足が進んでいく感じがあって、今年の夏はよく聴いていましたね。 クリス:タイラ以外に最近よく聴く新譜は? bird:ノラ・ジョーンズの新譜(アルバム『Visions』)は家で夜ゆっくり聴いていますね。今回、けっこうギターがよく出ている楽曲がそろっていてすごく心地よくて。 クリス:ノラ・ジョーンズのどこが好きですか? bird:もちろん声も素敵なんですけど、アルバムごとにいろんなチャレンジをされてきた感じがあって、今度はどんなアルバムになるのかなって、すごく楽しみになっている印象ですね。新しいことに飛び込むことを楽しんでいるような。あとはハイエイタス・カイヨーテっていうグループもよく聴いていますね。 クリス:新譜はどこが好きですか? bird:バンドのチーム感がグッとくる感じや、声のエネルギーにもやられちゃいますね。前にライブに行ったときも、本当にエネルギーをもらえたグループなので、新譜を聴いてカッコいいって思いました。