高級石材・庵治石の捨てられてしまう粉を活用 陶器でも磁器でもない「Loci(炉器)」 香川県産品コンクールで最優秀賞も受賞
香川県が誇る高級石材・庵治石は、製造の過程で削った石の粉など廃棄物が出てしまう。処分される庵治石がもったいないと香川・三木町の女性が立ち上がった。 【画像】陶器でも磁器でもない食器
廃棄される石粉「利用できないかと」
三重県出身で陶芸などの創作活動に取り組むアートスペースにくしみのニシクミ代表は6年前、夫の故郷である三木町に移住し、子供向けのアート教室を開催する傍ら、廃棄される庵治石を使った食器作りに取り組んでいる。 なぜ庵治石を食器に使おうと考えたのかを聞くと、ニシクミさんは「香川に引っ越してきて、すぐ庵治石というものを知って、石材店と交流がある中でたくさん捨てられている石がある(と聞いた)。何かに利用することができないかと聞いた」と答えた。 庵治石はきめ細かい地肌で磨き上げるほどつやが出る高級石材だ。主に墓石などに使われるが、切ったり削ったりする際に出るのが石の粉、「石粉」で、活用法がほとんどなく廃棄されている。
5年かけてLoci(炉器)を製作
ニシクミさんはもったいない庵治石の石粉を粘土と混ぜれば食器がつくれるのではと軽い気持ちで取り組み始めたが、「ただ混ぜるだけだと、粘土がモサモサして形にならなかった。どの粘土が相性が良いのか、いろんな粘土を取り寄せて、どれだけ混ぜるかも繰り返してながら工夫した」という。 試行錯誤すること5年で石粉を60%近く使った器が完成した。土から作る陶器でもない石から作る磁器でもない、Loci(炉器)と名付け、2024年6月に発表した。「石の成分が粘土と粘土をしっかり結びつける役割をしてくれて、割れにくい丈夫な食器になった」という。 Lociは2024年度の「かがわ県産品コンクール」で見事、最優秀賞を受賞し、今後は東京・新橋のアンテナショップでも販売される予定だ。ニシクミさんは「日常で使ってもらえるとうれしい。香川の人はもちろん、香川を離れて生活している人に地元を思い出してもらえたら」と話す。 高級石材の粉がもったいないのはもちろん、地元にあるものを生かして新たな特産品が生み出されたということも素晴らしく、香川を感じられる作品になっている。2025年からニシクミさんの工房ではLociの制作体験も実施する予定だという。 (岡山放送)
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