台頭する「 アテンション指標 」。求められるクリエイティブとメディアの連携
記事のポイント 広告業界において、注目度を測定するアテンション指標が注目され、インプレッションやビューアビリティに続く新たな測定指標として登場。 アテンション指標を活用することで、メディアプランニング、広告出稿、クリエイティブ制作において相互作用を理解し、効果的なキャンペーン実施に貢献するとされている。 アテンション指標の適用されるようになり、クリエイティブとメディアの両部門が協力し、広告の効果と効率を高める取り組みが重要になっている。 授業中、先生の話を注意して聞いていないときに当てられて恥ずかしい思いをした経験がある人は多いだろう。しかし、先生の話がもっと面白ければ注目していたかもしれない。もし席が窓際でなければ外の景色に気を取られることもなく、集中できていたかもしれない。 広告効果の測定指標として台頭しつつあるアテンション(attention:注目度)を語るにあたり、学校時代のエピソードにたとえてみたが、測定の実情はもっと複雑だろう。測定指標といえば、まずインプレッションが普及し、続いてビューアビリティが登場したが、次の進化形として関心を集めているのがアテンションで、いま、さまざまな角度から評価され、ガイドラインが策定され、多くのベンダーが事業拡大のチャンスを狙う分野となっている。 アテンション指標は、適切に使えば、メディアプランニングや広告出稿だけでなく、クリエイティブ制作にも役立つインサイトを抽出できるとして採用が進んでいる。そのため、メディアエージェンシーとクリエイティブエージェンシーが新たな形で協業する機運が生まれた。
広告の「効果」と「効率」を求めて
エージェント業の歴史を振り返ると、メディア部門は、低コストのCPM(インプレッション単価)による収益性と効率性をてこに、クリエイティブ部門とは別の事業として発展してきた。アテンション指標は当初、メディア事業単体で利用されていたが、クリエイティブ側との連携を通じてキャンペーン全体の効果向上の原動力となり、これがメディアとクリエイティブの、いわば「再連合」を促す動きにつながった。 クリエイティブチームは制作に際し、広告が掲載されるメディア独自の強みを生かしたコンテンツに仕上げる必要がある。一方、メディアチームは、質の高い媒体の広告枠を確保したとしても、魅力的なクリエイティブなしには消費者の注目を集められない。 「ひとつひとつの事象のあいだには関連性がないようでも、まとまると業界の全体的な傾向が見えてくる場合がある。それが、広告の効果と効率を求めてクリエイティブとメディアが手を結ぶという現象だ」と、リアルアイズ(RealEyes)の成長事業・マーケティング部門でCMOを務めるマックス・ケールホフ氏はいう。「広告プランニングでは、クリエイティブとメディアがアテンション指標の活用を通じ、緊密に協力するチャンスが増えている」。 ケールホフ氏はさらに続けて、アテンション指標に関する取り組みを通じて、「クリエイティブとメディアの相互作用を理解することにより、意図した成果が達成できるという証拠があらためて示された」と語った。リアルアイズは現在、調査会社のカンター(Kantar)、業界団体のIAB(インタラクティブ広告協議会)やARF(広告調査財団)と連携し、アテンション指標の普及を促進している。