沖縄県幹部「映像は事故状況を客観的にとらえたもの」 辺野古抗議活動での警備員死亡事故
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、発生時の状況が映ったカメラ映像を視聴した沖縄県の前川智宏土木建築部長が31日、「映像は事故の状況を客観的にとらえたもの」との認識を示した。地元の名護市議会からガードレール設置などを求める意見書を受け取った際、市議らに明らかにした。 【写真】1月、土砂の搬出港近くで行われている「牛歩」による抗議活動 事故現場の名護市安和(あわ)の土砂搬出港付近では、市民団体のメンバーらがプラカードを持ってダンプカーの前をゆっくりと横断し、牛歩戦術で土砂の搬入を遅らせようとする抗議活動を展開。港湾を利用する事業者側が「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」と何度も要請していたのに、県は「歩行者の横断を制限することになる」として認めなかった。 この日は名護市議会の金城(きんじょう)隆議長らが県庁を訪れ、玉城デニー沖縄県知事宛ての意見書を提出した。意見書では「度重なる要請を受けているのにもかかわらず、沖縄県は何の対策もしていない」として「県の対応は不十分」と批判。ガードレールの設置や、車両通行を妨げる行為をやめるように指導することなどを求めている。 これに対し、前川土木建築部長は「歩行者の自由な通行を妨げるような構造物の設置は芳しくない」との考えを強調。「ちょっと言い訳がましくなるが、道路法ではゆっくり歩く人を規制する根拠がない」と指摘し、「道路は車いすの方など不特定多数の人が利用する。歩き方が遅いからといって規制や取り締まりはできない」とした。 ガードレールの設置には否定的な見解を示す一方、ポールについては「設置する可能性の余地はある」と述べた。