若者に教えたい「資産形成より重要な金融の本質」 田内学×白川尚史「異色の受賞小説家」対談前編
彼らに教えてあげるべきことは、自分が「投資される側」になることではないでしょうか。 例えば、クラウドファンディングで「自分はこういうことをやりたいと思っているから、お金を出してください」とか。日本ではまだクリエーターが投資を受ける例はあまりないかもしれないけれど、働いて貯めたお金を投資で増やすのではなく、必要なお金は初めから投資してもらったり、借りたりしたらいい。 そもそも金融とは、お金を融通するという意味です。そのために金融っていうものがあるんだってことを知らない人が、意外と多かったりするんですよ。
■「借金は悪いもの」という勘違い 白川:世の中がよりよくなるためには、投資を受けた若い人たちが活躍できる機会は不可欠ですからね。そういうチャレンジをしてくれる人がどんどん増えてほしいとは思います。 田内:とくに、「借金は悪いもの」と思い込んでいる人が多くて、大学に入っても、せっかくそこでいろいろと学べるのに、勉強そっちのけで奨学金返済のためにバイトに明け暮れてしまったりする。実にもったいないと感じました。
そういう意味で、自分がお金を借りたり、融通してもらう側になって、そのうえで何を実現したいか。お金を増やすための金融教育とは別に、お金は目的なのではなくて手段でしかないと、しっかり教えてあげなくていけないと改めて思いました。 後編:「東大理系卒で金融業界」の僕らが小説を書いた訳 (構成:小関敦之)
田内 学 :お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家/白川 尚史 :作家、マネックスグループ取締役兼執行役