猛暑で増える支出をエコノミストが分析 エアコン、冷蔵庫…家計を救う「夏の節約術」
暑いとシャツが売れる?
電気代に次ぎ猛暑で消費が増えるのは「男子用シャツ・セーター類」。ちょっと意外な気がするけど……。 「エアコン代が野放図に増えるのを防ぐために、堅実なやり方でお金のかかりにくい猛暑対策に注意を払ってきている」と熊野英生氏は指摘している。 要するに暑さ対策の衣類だ。「冷感アンダーウエアや接触冷感、ひんやり冷感などと銘打った衣類」を買って、少しでも暑さから逃れようというわけ。 「他の被服」も売れるらしい。ここには帽子やソックスが含まれる。最近は冷感ソックスといった暑さ対策品も登場しているので、売り上げが伸びるようだ。 熊野氏は「節電型の猛暑対策」が増えたと分析している。
食料品は3年間で20%上昇
食べ物はどうだろうか。暑さと相関関係が強い品目の3位は「他の飲料」だ。これは「果物・野菜ジュース、炭酸飲料、ミネラルウオーター、スポーツドリンクなど」。このあたりの商品が売れるのは当然だろうが、外食が上位(6位)に食い込んだのはちょっと驚きか。 暑いから外出を控えるという流れにはなっていない。 「家にいるとどうしても電気代を使うので、暑い日中は飲食店内で過ごす人が増えているのかもしれません。冷房の効いたカフェや飲食店で長く過ごすので外食の支出が増加するとも考えられます」(熊野氏) 一方、支出が減る品目もある(猛暑と逆相関関係)。トップは塩干し魚介だった。「塩サケ、たらこ、しらす、干しアジ、煮干し」あたりだ。暑いと塩分が欲しくなるから売れ行きは伸びそうだが……。 「魚の値段は上がっています。おそらく節約志向の高まりで魚類は買いにくくなっているのでしょう。また外食が増えると家で食べる機会は減ります。暑い夏、火を使う料理はできるだけ避けたい。そんな心理が働くでしょう。となると、調味料(2位)も使わなくなります」(熊野氏) 食料品の値段がどれほど上昇したか。消費者物価指数(総務省)のデータを分析し、その推移をたどると、この10年間の上昇が凄まじいのが分かる。2020年を「100」とすると、23年は「120」を超す。ほんの3年で20%の上昇だ。1980年から90年は「70~80」程度。日本経済は「失われた30年」といわれるが、食料品は1.5倍以上になっている。 原材料高、原油高、円安……。物価高騰は激しさを増しそうだ。賢い節約術を実践するしかない。