福井VS長野 「越前そば」と「信州そば」の違いとは・・・?双方のそばを徹底比較
食べ方や味の特徴は?
歴史の深さは長野も福井も互角と言ったところか。次は、食べ方や味の特徴を比較したい。
長野県の特徴は、そば打ち愛好者らでつくる塩尻市のNPO法人「信州そばアカデミー」の理事長・赤羽章司さん(75)に聞いた。赤羽さんによると、標高が高い長野県では、冷涼な気候から各地でソバの生産が盛んに行われている。食べる際には、「オヤマボクチ」と呼ばれるヤマゴボウの葉の繊維をつなぎにそばを作る地域もある。かつてはつなぎの小麦粉が貴重だったことから、そば粉のみでも生地がまとまるように考え出された方法だという。
食べ方や盛り付け方は、長野県内の各地でさまざまだ。盛り付けが特徴的なのは長野市の戸隠そば。ゆであがったそばをおわん1杯分に束ね、その束を複数盛り付ける「ぼっち盛り」が有名。食べ方では、肉や野菜を入れた鍋にゆでたそばを入れる「とうじそば」や、辛み大根をすりおろし、その絞り汁に味噌を入れてつけ汁にする「おしぼりそば」、木曽地域伝統の漬物「すんき」を入れた「すんきそば」などがある。各地域でいろいろな食べ方、味が楽しめることが信州そばの魅力だ。
一方の越前おろしそばの食べ方はどうだろうか。福井の米やソバの生産振興などを担当する福井県福井米戦略課に話を聞いた。越前おろしそばの食べ方は、冒頭に紹介した皿にそばやネギ、大根おろし、かつお節を盛り付け、だしをかける食べ方の他に2種類がある。だしに大根おろしを混ぜる食べ方、そして、だしに大根をおろした汁を入れる食べ方だ。いずれも、わさびを使わずにそばの風味と大根のうまみで食べることが特徴だという。「飲み会のシメにとてもいいですよ」と担当者は話していた。
また、福井県は在来のソバの種類が非常に豊富で、県が把握しているだけで22種類。大野在来や丸岡在来、今庄在来など、それぞれで味の特徴が少しずつ異なる。小粒ながらも味が濃く、香りに優れているこれらの在来種をPRするために、福井県は「香福(こうふく)の極み 越前蕎麦」というキャッチフレーズを付けてブランド化を図っている。