30周年記念し島民劇上演 徳之島町文化会館 昼夜2公演に900人の観客
鹿児島県徳之島町の文化会館30周年を記念した島民劇「ゆうなの樹の下で」の公演が1日、同館であった。3人の「ゆうな」という名の女性と島民たちが繰り広げる涙あり笑いありの人情劇が客席を温かな感動で包んだ。 島民劇の企画は2009年の「北緯29度線」で始まり、今回で6作目の上演。4作目からは役者、照明、音響などのスタッフも島民が手掛けている。同日は昼、夜の2公演があり、延べ約900人の観客が訪れた。 主人公は、島に初めてやってきた20代の「優奈」、恋と生活のはざまに悩む30代の「友菜」、母になり喫茶店を営む40代の「夕凪」の3人。劇は、この3人が個性あふれる島民と関わりながら、それぞれの旅立ちを迎えるまでの出会いと別れを描いた。 舞台では徳之島町歌の歌詞からコンビ名を取った「大島小島」が狂言回しを担当。亀津浜踊り保存会、徳之島ストリングス、亀津中吹奏楽部、亀徳保育園の園児たちのほか、高岡秀規町長や国際交流員のリナルディ・クリストファーさんも出演して演奏、歌、踊りで花を添えた。ラストは総出演者約60人の大団円で飾った。 演出を務めた大迫旭洋さん(36)=熊本市=は「この劇のために初めて徳之島に来たが、人としての魅力がある演者ばかり。個々の面白さを生かすよう心掛けた」と解説し、「このチームだからこその舞台ができた。客席の反応もよく、幸せな時間を過ごせた」と仲間たちに感謝した。 「夕凪」を演じた大高美佐江さん=伊仙町伊仙=は「主役は初めてで緊張もあったが、島の良さを自身でも感じながら、演じ伝えることができた。練習を積むうちに本当の家族のようになった仲間たちと舞台を作り上げられてうれしい」と達成感をにじませた。