半導体関連企業が学生採用で連携、脱「地味」へ対話イベント…需要拡大でも苦戦中
半導体関連企業が、採用活動を強化している。半導体は需要拡大が見込まれているが、人工知能(AI)などと比べると身近に感じにくいこともあり、学生の採用では苦戦。ライバル各社が連携して業界の魅力をアピールする試みや、学生との接点を増やす取り組みを通じ、優秀な人材確保につなげる狙いだ。(坂下結子) 三菱電機やロームなど半導体関連企業6社が協力し、神戸大で各社のエンジニアと学生が対話するイベント「SEMICON TALK(セミコン トーク)」が開かれた。 エンジニアたちは約90人の学生に向け、「年々、技術革新している分野。チャレンジ精神のある人に向いている」「ものづくりが好きな人にはたまらない仕事」と魅力を語った。神戸大大学院の男性(23)は「幅広い分野の人材が入社しているので面白そう。社員と話せて社風も少しわかった」と話した。
イベントに参加したソニーセミコンダクタソリューションズの採用担当者は「(半導体業界に)『地味』というイメージを持つ学生もいる。直接対話する機会を増やしたい」と話す。 国内の半導体産業は1990年代以降、海外勢に押され、事業縮小や人材流出が相次いだ。だが、近年では生成AIの普及や米中の貿易対立などを背景に、再び注目が高まっている。 リクルートによると、2017年度から23年度にかけて、半導体関連エンジニアの求人は全国で3・8倍に伸びた。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、半導体関連の人材は、今後10年間で、国内の主要9社で4万3000人が必要になると試算する。
優秀な人材確保に向けた動きは海外勢でも進む。半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)と台湾の雲林科技大は、半導体に関する技術を教える日本人向けコースを25年から新設する。4年間の授業料(約225万円)免除など手厚くサポートする。 リクルート進学総研の小林浩所長は、人材確保に向け、「半導体関連の企業や大学などが、仕事の内容や、学生が身に付けるべき知識やスキル、将来性に関する情報を積極的に発信することが大事だ」と指摘した。