【日本市況】株式反落、中東情勢緊迫でリスク回避-債券上昇し円軟調
(ブルームバーグ): 2日の日本市場では株式相場が反落。中東情勢を巡る緊張が高まり、リスク資産である株式が売られた。安全資産への需要で債券は上昇。円にも買いが先行したが、その後は日本銀行の利上げ観測後退を受けた売りが優勢となった。
イランが1日、弾道ミサイルでイスラエルを直接攻撃した。イスラエルのネタニヤフ首相は報復を誓い、中東の地政学リスクに対する警戒感が強まっている。前日の米国株がハイテク中心に下げた流れを引き継ぎ日本でも半導体や電機株が売られ、日経平均株価は800円超下げて終えた。
イラン、弾道ミサイルでイスラエル攻撃-ネタニヤフ首相は報復誓う
一方、リスク回避の円買いは限られ、1ドル=144円台前半まで円安・ドル高に振れる場面があった。逃避需要でドルも買われやすい上、日銀の追加利上げが後ずれするとの観測が根強い。
赤沢亮正経済再生担当相は2日午前の記者会見で、石破茂首相が日銀による「金利引き上げに前向きだと言われるのは、全体の絵として必ずしも正しくない」と述べた。
石破首相が利上げに前向きとの見方は必ずしも正しくない-赤沢再生相
株式
東京株式相場は大幅反落。中東情勢の悪化で世界経済が不安定化するとの懸念から投資家のリスク志向が後退した。半導体関連やバリュエーションの高いグロース(成長)株が大きく下げた。
ソニーグループが2.9%値下がりし、TOPIX下落に最も寄与。指数を構成する2128銘柄のうち1733銘柄が下げ、上昇は337銘柄にとどまった。TOPIXグロース指数は1.8%下落した。
大和証券の細井秀司シニアストラテジストは、イスラエルとイランの対立が激化すれば原油価格や輸送コストの上昇などにつながってくるとし、「世界経済的にはいい方向ではない」と指摘。成長株が売られているのもリスク回避の「教科書的な動き」だと述べた。
防衛関連株も下落した。地政学リスクの高まりや石破政権による防衛費増額への期待から三菱重工業や川崎重工業などは逆行高となる場面があったが、投資家の利益確定売りに押された。