世論調査と乖離 トランプ氏勝率約60%を示す賭けサイト「ポリマーケット」の仕組みとは
5日(日本時間同日夜)に投票が始まる米大統領選を巡り、暗号資産(仮想通貨)を用いる米国の賭けサイト「ポリマーケット」で、共和党候補のトランプ前大統領の勝利予想が優勢となっている。5日午後3時(日本時間)時点では、トランプ氏の勝利予想が58%で、民主党候補のハリス副大統領を16ポイントも上回る。ただ、この予想はトランプ氏とハリス氏の大接戦を予想する世論調査とは乖離しており、賭けサイトでの相場操縦の疑いも指摘される。日本国内では馴染みのないポリマーケットだが、どのような仕組みなのか。 【表でみる】米大統領選でどちらかが敗北した後のシナリオは? ■賭けは2択、売買で相場上下 ポリマーケットは、2020年にシェイン・コプラン氏によって設立されたオンライン予測市場だ。ユーザーの提案を基に政治やスポーツ、ポップカルチャーなど幅広いトピックが賭けの対象となり、「Yes」か「No」の二者択一で結果を予想して「株」を購入する形式で賭けを行う。 予想が的中すれば賭け1口(1株)あたり1ドルが支払われ、外れた場合はゼロとなる。例えば、米大統領選でトランプ氏の勝利に賭けたい場合は、対象のYes株を買う。トランプ氏が勝つ可能性が60%の時点で賭ける場合、Yes株を1株=60セントで購入できる。予想が的中すれば、Yes株が1株=1ドルの価値になり、差額の40セントが利益となる。 株の市場価格は売買によって上下し、取引の決済は米ドルにひも付いた仮想通貨で行われる。現時点では、取引手数料は無料で、株を保有し続けるだけでなく、イベント期間終了までに保有株を現在の市場価格で売却することも可能としている。 ■勝率急上昇で相場操縦疑惑も浮上 ポリマーケットは以前、米商品先物取引委員会(CFTC)から罰金を科された際の和解条件として、米国居住者が取引できないようにしており、取引参加者は米国以外の個人投資家が占める。マネックス証券の松嶋真倫(まさみち)暗号資産アナリストは、「ポリマーケットの価格相場は、米国民の民意というよりは、各国の暗号資産投資家の意向が反映された指標」と説明する。 ただ、ポリマーケットでの取引において、個人投資家の投資額に上限を設けていないため、市場の流動性が比較的低く、相場価格が乱高下しやすい面もある。今年8月下旬~9月には、米大統領選の両候補の勝利確率に大きな差はなかったが、10月初旬から徐々にトランプ氏の勝利確率が上昇。10月下旬には、1件の大型購入によりトランプ氏の勝利確率が一時99%に急上昇したこともあり、一部投資家による相場操縦の疑惑も浮上した。