なぜ、キャラクター商品は目を引くのか? 裏にある2つのマーケティング手法
連載:グッドパッチとUXの話をしようか
「あの商品はどうして人気?」「あのブームはなぜ起きた?」その裏側にはユーザーの心を掴む仕掛けがある──。この連載では、アプリやサービスのユーザー体験(UX)を考える専門家、グッドパッチのUXデザイナーが今話題のサービスやプロダクトをUXの視点で解説。マーケティングにも生きる、UXの心得をお届けします。 【画像】いろいろなキャラクター(計4枚) ハローキティをはじめ、数多くのキャラクターを生み出しているサンリオの「サンリオキャラクター大賞」をご存じでしょうか? ファン投票で450以上のキャラクターから人気No.1を決めるというもので、実は今年で39年目。 昨年からその結果発表イベントが東京ビッグサイトで行われるほどの大規模になっており、今年は6月16日に発表されます。ここ数年は「ハンギョドン」「ポチャッコ」「タキシードサム」など、昭和に活躍した顔ぶれがトップ10に食い込む人気になっていることも話題になりました。 現在サンリオだけでなく、さまざまなキャラクターを日常のあらゆるシーンで目にします。スーパーで売られている、子ども向けの菓子、大人が買うはずのふりかけやレトルト食品からコンビニや外食チェーン、鉄道や航空会社のキャンペーンなど……。 筆者は過去、ヤフージャパンのトップページをユーザーが好みのテーマ(デザイン)に変更できる「ヤフーきせかえ」の事業責任者を務めていました。この経験を通じ、キャラクターがユーザーの高い支持を得ていることを実感してきました。 なぜ、キャラクターはこんなにも幅広い年齢層から愛され、あらゆるところで活用されているのか。今回は、盛り上がりを見せるキャラクタービジネス、そしてそれを支えるキャラクターの魅力にユーザー体験の観点から迫ります。
コロナ鎮静で後押し? 再成長するキャラクタービジネス
日本でのキャラクタービジネスはここ数年で急速に進化し、多様化しています。2023年の市場規模は約2.5兆円に達し、前年同期比で約5%の成長を遂げました(矢野経済研究所「キャラクタービジネスに関する調査」より)。 この成長を支える要因の一つに、アニメ化された『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』、特撮『ウルトラマン』、映画が公開された『ONE PIECE FILM RED』などのマンガ発のキャラクターはもちろん、SNSで話題に火が付いた「ちいかわ」や「おぱんちゅうさぎ」といった、バラエティに富んだキャラクターが活躍したことが挙げられます。 文具やアパレルなどの商品化にとどまらず、キャラクターは飲食業界などでも多角的に展開されています。キャラクターカフェやテーマパークといった展開も、コロナ禍での行動制限の緩和により、前年度から一転して好調です。 例えば、人気アニメ『鬼滅の刃』のキャラクター商品は、国内外で高い売り上げを記録。関連商品の売り上げは数千億円に上りました。直近ではたこ焼きチェーンの「築地銀だこ」が、アニメの第4期放送に合わせて4月末から3カ月間の大規模なコラボキャンペーンを実施し、キャラクターとコラボしたメニューや限定グッズを受注販売しています。 すかいらーく系列のジョナサンとガストでも、5月から7月までコラボメニューとそのメニューを注文した際にもらえる限定グッズに注目が集まっています。 回転寿司チェーンの「スシロー」は、アニメ『【推しの子】』とのコラボキャンペーンを展開しています。コラボメニューの人気を受け、コンビニの専売特許であった一番くじを実施するなど、キャラクターによる売上向上施策に力を入れている様子がうかがえます。