愛知・野菜の摂取量「全国最下位」が話題に
愛知県民は野菜をつくるけど食べない!?──。厚生労働省が2013年末に公表した「国民健康・栄養調査」によると、愛知県の野菜摂取量が全国最下位となったことが、新聞で報道されるなどして話題となっている。県内では三河地方を中心に野菜づくりもさかんなため「意外な結果」と思っている人も多いかもしれない。県内の摂取量の現状とは?
愛知県健康対策課「具体的な摂取の働きかけしていきたい」
愛知県といえば、製造品出荷額が全国1位の「ものづくり」の地と知られるが、一方で三河地方を中心に、温暖な気候で肥沃な土壌を使った野菜づくりもさかん。キャベツとふきの生産出荷量は全国1位(2013年)、また都道府県別の農業産出額順位を見ても全国6位(2012年)になるなど健闘している。 あらためて厚労省の資料を見ると、20歳以上を対象とした野菜摂取量の平均値は、男女ともに長野県が全国トップ。もっとも、長野県は食塩摂取量の平均値が男女ともに全国2位であるため、野沢菜などの漬物が野菜摂取量の増加につながっているとも予測される。 愛知県を見てみると、同省が目標とする成人1日の野菜摂取量が350グラムであるのに対し、男性が243グラム、女性が240グラムという結果で、ともに長野県の65%ほどという状況。近県の状況を見ても、岐阜県は男性36位、女性24位、三重県は男性35位、女性39位と振るわない。 この現状について愛知県の健康対策課に聞くと「はっきりとした原因についてはわかっておりません」と回答。「これまでも愛知県独自で野菜摂取量の調査を行ってきましたが、『全国平均より少し低いかな?』という程度の認識でした。家庭菜園を行う世帯も多く見られるだけに、最下位という結果は残念。食生活などを調査し、具体的な働きかけをしていきたい」と続けた。
名古屋市内も野菜の産地って知ってた!?
名古屋市内でも、港区の南陽町を中心とした米づくりとともに、中村区や中川区、西区、緑区といった中心部を囲むエリアで野菜づくりが行われている。 名古屋の“米どころ”南陽町ではトマトやスイートコーン、ブロッコリーなど、中川区の富田や下之一色では春菊や水耕栽培のみつばなど、緑区の大高では馬鈴薯といった根菜も。また県下のスーパーでは地産地消を推奨するコーナーも目につく。「愛知県の野菜の消費量が少ないことには驚いたが、それだけ他に選ぶ食材が豊富だということかもしれないですね」というのは、尾張地区のスーパー経営に30年以上携わった60代の男性だ。 「当店では、野菜を中央市場と地方市場から仕入れていたが、地元産の仕入れは1割程度。地元産は輸送コストが抑えられるため値段を下げやすい。そこに地産地消の意義を加えれば、野菜自体の消費量の底上げにつながるのでは」と続ける。