【独自】「サクラは800人超」反ワクチンデモで動員を証言…背景に歌舞伎町拠点の“トクリュウ”か【ファクトチェック調査報道】
浮上した「トクリュウ」、メンバーが明かすサクラ募集の実態
「サクラは最低でも800人はいたはず」 そう記者に語ったのは、都内の風俗店などに女性を斡旋する、20代の男性スカウトだった。この男性スカウトが所属するのは、国内最大規模のスカウトグループ。2020年に新宿歌舞伎町で指定暴力団の4次団体と対立した「スカウト狩り」などで注目を集めた。警視庁は「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」にあたるとみており、昨年11月にも幹部らを組織犯罪処罰法違反で逮捕している。関係者によると、現在は別名称で活動しているという。 男性スカウトによると、デモ集会の約5日前、グループ専用のアプリ内でサクラ募集の案内が投稿された。内容は、デモ参加者1人当たりに報酬2万円を支払うというもので、手を挙げたメンバーは計約800人にのぼったという。「自ら行くだけでも2万円もらえる。サクラの人数にも制限はなく、多ければ多いほど良いという案内だった」 男性スカウトがX(旧Twitter)でサクラを募集すると、10~30代の約20人からダイレクトメッセージが届いた。男性スカウトは「一人1万円を渡す」と報酬を約束した上で、それぞれ個別にやり取りし、集会当日の午後1時に有明駅に来るよう伝えた。 当日はグループから指示された通り、集まったサクラの顔写真を撮影した。公園内で約2時間過ごさせた後、再度集合。今度は全体写真を撮影した上で、自ら事前に用意していた現金から一人1万円ずつ配布した。グループからは後日、撮影した写真と照会した上で約20人分の報酬約40万円を手渡しで受け取った。手渡しの理由は「銀行口座などの履歴を残さないため」。スカウトの中には、想像を超える人数が集まった結果、報酬の立て替えができずにサクラとトラブルになったり、サクラに報酬を支払わずに連絡を絶ったりしたケースもあったという。 男性スカウトは今回のようなサクラ募集の案内を、グループ内でも初めて見たという。 「誰がうちのグループに動員を依頼したかは教えてもらっていない。でも、少なくとも数千万円を動かせる財力には不気味さを感じる」 主催者は、サクラ募集にトクリュウが関与していたことについて、「我々の運動は、政府のワクチン政策などに抗議するため、全国から自発的に集まった普通の国民の集会。サクラの動員は無意味で、犯罪組織とも一切関係ない」と主張。「メディアで報じる事で、この運動を潰す目的で仕掛けたのではないかと考える。メディアは、運動の全体像を報じるべきだ」(抜粋)などとコメントした。