一日警察署長のギャラ事情 記者ノートfrom湊町
街を彩るイルミネーションやショーウインドーに心躍る一方で、なにかと浮足立つこの季節、忘年会での飲酒トラブルや交通事故、帰省中の空き巣などが懸念されるため、全国各地の警察署は「歳末警戒」と銘打ち、防犯や交通安全の啓発に努めるのが恒例だ。 活動に花を添えるのは、著名人が務める一日署長。その実務には各署の生活安全課の担当者があたることが多いといい、複数の関係者に内情を聞いてみた。まず、人選はどうするのか。 「アスリートの場合は、学生時代に部活動に励んでいた署員の知人だったというパターンが目立つ」。そうしたつてがない場合は、大手芸能事務所に日程と予算を伝え、派遣可能なタレントを提案してもらうという手段が取られる。 気になるのはそのギャラ事情。署の予算で賄われているのかと思いきや、関係者は「警察や府県の予算でそうした項目は基本的に通らない」と口をそろえる。 では、どうやって捻出しているかというと、防犯協会や交通安全協会など関わりの深い団体からの寄付が原資となるという。「管内に企業や団体が多い署は人気タレントを呼べるし、そうではないところは制約が…」と苦笑する関係者も。ほぼボランティアで臨む著名人もいるが、思わぬ格差が存在するのも事実だ。 一日署長を伝えるネットニュースを見かけると、不思議とクリックしてしまう。警察官の制服に身を包んだ人気者の姿にどこか興味をひかれてしまうのは記者だけではないはず。啓発の効果も大きいのではないだろうか。(木津悠介)
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