日鉄会長、「諦める理由も、必要もない」 USスチール買収巡り法廷闘争の長期戦覚悟
■提訴の意義大きく
バイデン氏の買収阻止命令は、原則30日以内の計画の放棄を定めた。日鉄はこの措置を含めた命令の無効を求めており、まずは放棄期限の2月2日までに裁判所がどんな判断を示すかが焦点だ。
訴えが退けられた場合、日鉄とUSスチールは新たな対応を迫られるが、放棄期限の効力が中断されれば、訴訟で買収実現の再審査の道を開くシナリオは残る。日鉄には、トランプ次期大統領への政権移行でCFIUSのメンバーが一新され、米国の安全保障と製造業の労働者の利益に資する計画への理解が得られるとの期待もある。
法廷闘争の行方によっては、日鉄に計画破棄の違約金と時間の浪費のつけがのしかかる最悪のケースも否定はできない。しかし、提訴には日米の同盟関係の信頼と経済連携の重要性を問い直す側面もあり、その意義は大きい。(池田昇)