1年7カ月ぶりVの石川遼「ゴルフ全体の歯車を把握できるように」戦略やメンタル重視、円熟味で若手と戦う
◇23日 男子ゴルフ ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ・バイ・サトウ食品最終日(栃木、西那須野CC) 石川遼(32)=カシオ=が1年7カ月ぶりのツアー19勝目を挙げた。2打差2位から開始し、終盤のバーディーラッシュで逆転。68で回って、通算21アンダーで勝ちきった。 ”千両役者”が戻ってきた。今大会は選手会が主催。副会長の石川は大会実行委員長として、4月からPR活動や企画会議などに奔走。大会中はプレー中にピンマイクを付けてネットテレビに会話を送り、地元高校生の取材に応じた。そして最終日は最終組で回って逆転V。「内容の濃い勝利になった」とこれまでとはまた違った充実感を漂わせた。 円熟味を増した優勝だった。年々現れるパワフルな若い世代の選手と闘うため、飛距離を求めるゴルフから戦略やメンタル重視で勝つことに切り替えている。ボギーにした11番は、3番ウッドでの打球が右に飛び出し、さらに木に当たって深い茂みに飛び込んだ。しかし、「さあ、ここからどうするか」とむしろ状況を楽しんだ。 最大のポイントになったのは16番パー5。首位にいたが、前の組の金子駆大らが追ってきていることが分かった。「パーではだめ。絶対にボギーにしないで、いかにラッキーではないバーディーを取るか」をテーマに、右ドッグレッグの第1打をあえて大きく右から打ち出し、完ぺきなドライバーショットを生んだ。実質147ヤードの17番も、PWで50センチに。この連続バーディーで、勝負をつけた。 現在はグリップをストロングからウイークにして、トップも浅めにしている。「ゴルフ全体の歯車を把握できるようになった。どこかが狂っていても、最低限のエネルギーで回していける。エンジンが止まらないゴルフができている」という。 アマチュアだった15歳で初優勝し、18歳で史上最年少の賞金王になったとき、当時のベテランたちは石川と闘うため策を練った。「若い世代の中には、爆発力では手がつけられない選手がたくさんいる。僕は4日間の勝負というより、1年間のスパンで立ちはだかりたい」。立場が変わった石川は、今度は自分が若手を育てる番だと考えている。
中日スポーツ