【ジュエリーの新潮流を読む】ブシュロンCEOが語る、新しい風
輝かしい歴史と伝統を継承しつつ、名だたる老舗ジュエラーは革新的な試みにも常に挑み続ける。2023年秋、来日したブシュロンのトップに、新たな店の魅力やブランドの美意識、今後の展望を尋ねた 【写真】今欲しいブシュロンのジュエリー
「ブシュロンは、創業者の革新をさらに推し進め、既成概念を超えるクリエーションでジュエリーシーンに新しい風を送り続けたいのです」
パリのハイジュエラー、ブシュロンが銀座本店を並木通りから中央通りに移転させ、リニューアルオープン。パリのヴァンドーム広場にある本店に次ぐ規模となった新たな銀座本店からは、この老舗メゾンが日本市場をどれほど重要視しているかが伝わってくる。 モザイクを敷き詰めた床、特注のファブリック、大理石のカウンター、日仏のアーティストたちが手がけたオブジェなど、完成までに2年以上を要したのは、こうした室内装飾や演出に徹底的にこだわったからだという。 「日本には大きな期待を寄せています」と語るのは、オープニングイベントのため来日したメゾンのCEO、エレーヌ・プリ=デュケン。 「ブシュロンの日本進出は1973年ですから、半世紀前ですね。新しい銀座本店は私たちのマイルストーンにもなり得ると考えています」 お披露目された店内にはアクセシブルなアイテムからハイジュエリーまでが並ぶが、とりわけ人々の目を惹きつけていたのはクジャクの羽根をかたどった新作「プリュム ドゥ パオン」だ。その輝きはブルーとグリーンが入り交じり、まるで本物の羽根のように妖しい。
「私も個人的にとても気に入っているネックレスです。これまでの作品ではダイヤモンドで創っていたのですが、ピーコックカラーを取り入れることでリアルさがぐっと増しました。それに、このクジャクの羽根のモチーフは創業者フレデリック・ブシュロンがパリで活躍していた時代、19世紀から続く由緒あるものなのです」 クエスチョンマークのような形にも意味がある。この形のネックレスは1879年に考案。留め金がなく、ネックレスをしならせるようにして簡単に着脱できるという、当時としては革新的な作品の誕生だ。今回はチタンを用い、アルマイト加工を施して、青みがかったグリーンの美しいグラデーションを実現。そのため、独特のニュアンスが生まれている。歴史的なネックレスは、こうして今も進化を続けているのだ。 「イノベーションはブシュロンのDNAの一部です。創業者フレデリックは、このクエスチョンマークネックレスで19世紀に旋風を巻き起こした革新の人だったのですが、私たちはそれをさらに推し進め、メゾンの歴史をリスペクトしながらも、ジュエリーメイキングの限界を超えるほどの前例のないクリエイティビティに到達したいと考えているのです」
羽根の中心にあしらった極上のタンザナイトは3.94カラットもの大きさ。比重がゴールドの3 分の1 以下しかないチタンを採用し、驚くほどの軽さとしなやかさを実現した新感覚のハイジュエリー。 「プリュム ドゥ パオン」ネックレス〈チタン、WG、ブルーサファイア、ツァボライトガーネット、ダイヤモンド〉¥37,620,000(予定価格)/ブシュロン ブシュロン クライアントサービス TEL:0120-230-441 BY KEIKO HONMA, STYLED BY YUKA MARUYAMA, EDITED BY MICHINO OGURA