膀胱全摘出「ロボット手術」を受けた正直な感想 4本アームの「ダ・ヴィンチ」はSF世界から来たようだった
ダ・ヴィンチは4本のアームを持ち、1本には3次元カメラを接続。医師は3Dモニターを見ながら、残り3本のアームを操作し、患者の体に小さな穴を開けて手術を行う。手術操作を行う鉗子の先端に関節機能を持つため、人間の手以上に細かな作業ができる。そこで次のような利点が指摘されている。 ①傷が小さく、痛みが軽い ②出血量が少ない ③術後の回復が早く、早期の社会復帰が可能 ④繊細で正確な手術が可能 すばらしい手術法が現れたものである。さて、実際の手術だが、男性の根治的手術の場合には膀胱全摘に尿路変更術を施し、リンパ節郭清も行う。筆者のように症状緩和のための姑息的手術の場合ではこれらは行わない。また、筆者の場合、事前に腎瘻が入っていたため尿路変更術が不要だったという側面もある。
女性の場合は通常、子宮、卵巣および膣の一部を膀胱とともに摘出するが、状況によっては温存する場合もある。 尿道やその近くまでがんが及んでいる場合には尿道も摘出する。さらに、膀胱摘除術の際には、(転移の可能性のある)骨盤内のリンパ節を取り除く。 ■具体的な手順について 筆者のように尿路変更術を伴わない手術の場合の具体的な手順はこうだ。 ①全身麻酔を行う ②天井に頭を向ける仰臥位から25~30度頭を低くする
③お腹に1~2センチの穴を6個開けて、炭酸ガスを送り、腹部を膨らませてから手術を開始 ④骨盤内のリンパ節を摘除 ⑤男性は、精嚢、前立腺も含めて摘除する。女性は、子宮、卵巣の合併切除を行う場合もある ⑥膀胱を摘出するため、へそ上部付近に5~6センチの小さな切開を入れる。女性は膀胱を膣より取り出し、へそ付近の切開を行わない場合がある ⑦手術した場所にたまったものの排出や術後の観察のためにドレーンという管を留置する
⑧手術時間は3~4時間 手術に向けての準備は前々日から始まった。10時に入院すると、この日は輸血が2本待っていた。そして手術前最後の食事を味わう。ランチはサーモンフライ、夜は肉豆腐。心おきなく食べきった。 手術前日は、経口腸管洗浄剤を渡された。水を飲んだ後、1リットルほどを飲む。強烈な下剤である。まずくてなかなか飲めない。ゆっくり、ゆっくりと飲み込んでいく。 午後になると、麻酔科の医師による麻酔内容の詳しい説明、口腔科医師による手術前の口腔ケアの説明、集中治療室看護師による説明など入念な情報提供が行われた。さらに「予期しない事態の発生について」「輸血を受けられる方に」「身体拘束について」などの書類が手渡された。