XGはガールズグループのあり方を変えるのか。世界が注目する「圧倒的スキル」と「個性」
2. 固定観念を覆すファッションやビジュアル
XGと言えば、個性的で「先を行く」スタイリングだというイメージを持つ人も多いのではないだろうか。今回の「WOKE UP」のカムバックでも、制服スカート姿に毛皮とヘルメットという全く新しい組み合わせやロックな世界観のヘアメイク、全員お揃いの衣装など、毎回のステージやフォトシュート、ビジュアルコンテンツでスタイリングの雰囲気をガラリと変え、ファッション好きも楽しませてくれている。 「可愛い」「かっこいい」という単純な「わかりやすさ」にとどまることなく、メンバーの趣向や意見を大いに取り入れながら、アイドル業界では一見奇抜とも捉えられるような、それこそ「型破りの」ビジュアルも彼女たちの魅力だ。 そのように「なんでも挑戦してなんでも成し遂げられる」という前例を彼女たちとチームが提示してくれるおかげで、既存の型にハマり続けなくても、ファッションやヘアメイクは自分の魅力を引き出す、自分を自由に変えてくれる楽しいツールなのだ、と新たな世界を視聴者に見せてくれるのも、彼女たちが作る「ポジティブな変化」の一つだろう。 「WOKE UP」のミュージックビデオではグループ最年少のCOCONA(2005年生まれの18歳)が長い髪をバリカンで刈り、バズカットになった姿が大きな話題を呼んだが、それも彼女自身の意向で挑戦していることだったり、メンバーの体型管理は身体・精神の健康のためにも特に行っていないとプロデューサーのJAKOPSが発言していたりと、「ガールズグループとはこうあるべき」という固定概念をまさに自ら打ち破っているのだ。
3. メンバーの仲の良さと個性の強さ
XGはメンバーそれぞれのキャラクターの強さ、そして圧倒的な仲の良さも大きな魅力だ。XGの軌跡を記録するドキュメンタリーシリーズ「XTRA XTRA」やファンククラブ向けコンテンツ、そしてバラエティ番組等の光景からも見てとれるメンバー同士の信頼と友情は、高レベルなチームワークを生み出すのに必須だ。 彼女たちの間でその見えない絆を「へその緒」と呼んでおり、楽曲のタイトルや円陣の際の掛け声にもなっているほど、XGにとって重要なコンセプトとなっている。常に一緒にいて同じ目標を掲げていても、当然すれ違いや意見の相違は生まれる。そのようなものを乗り越えるためには「絶対に隠しごとをしない」、そして週に一度のメンバーだけの会議「宇宙会議」を行っていることも公言している。 これまでXGの「個性」について書いてきたが、多様性や個性を持った人々が平和的かつ協力的に共存するためには、お互いの「違い」を認識した上で、その「良さ」をそれぞれが大切にする必要がある。XGはリーダーのJURIN(21)のカリスマ性、最年長CHISA(22)の明るいユーモア、HINATA(22)の落ち着きと優しさ、HARVEY(21)のユニークな発想力、JURIA(19)の感受性の豊かさ、MAYA(18)のエネルギーと社交性、COCONA(18)の思慮深さと達観性、といったユニークな性格や特徴がうまくかけ合わさり、お互いをサポートし合うことでポジティブな化学反応を生んでいる。競争や同調を重視するのではなく、こうしてそれぞれの突飛性を愛し合うという、新たなチームのあり方、そしてグループのあり方を見せてくれる。 まだまだ始まったばかりのXGの挑戦。今このタイミングで彼女たちの成長物語を目撃できる私たちは、とってもラッキーなのではないだろうか。
竹田 ダニエル(ジャーナリスト、研究者)