1. 音楽性のクオリティの高さ

　XGのファン(その名もALPHAZ)は様々なきっかけで彼女たちの魅力にハマるが、「音楽性」の圧倒的なクオリティの高さで魅了される人が特に多いのではないだろうか。THE FIRST TAKEでの生歌の上手さがSNSで話題になった「Winter Without You」(2023年12月リリース)が優しくロマンチックなホリデーバラードだったのに対し、最新曲「WOKE UP」はハードなビートに載せてメンバー全員がラップを披露しているエッジィな一曲に仕上がっている。 　新たな楽曲をリリースするたびに、それまで披露してこなかったメンバーのスキルや個性的な側面が全面的に打ち出されていたり、全く新しい音楽体験をリスナーに提供してくれるという面でも、XGの曲を一曲知ってしまうと、彼女たちの活躍から目を離せなくなってしまう。 　特に世界で注目されるきっかけになったリリースといえば、2023年1月25日に出た「LEFT RIGHT」と「SHOOTING STAR」の2曲だ。ミュージックビデオも、それまでのガールクラッシュ的なコンセプトとは一転、明るくポップなY2Kの世界観でバイラルチャートやTikTokトレンドを席巻した。 　他にもハウスミュージックを基調にしたダンサブルな「TGIF」やサマーアンセムにぴったりの「NEW DANCE」など、きっと誰もがお気に入りの一曲を見出せるほど、幅広いジャンルやコンセプトに挑み続け、どれも軽快にこなしている。 　このようなことが可能なのも、当然メンバーたちの才能と、長いトレーニング期間と厳しい選別を乗り越えての実力と、音楽に対する強い愛情があるからだ。ボーカルラインはCHISA、HINATA、JURIA、ラップラインはJURIN、HARVEY、MAYA、COCONAと一応分かれてはいるものの、歌番組でのライブパフォーマンスやTHE FIRST TAKEなどの動画を見ると、全員が圧倒的に高い「歌」と「ダンス」に関する技術を持っていることがすぐにわかるだろう。 　チーム全体で音楽の教養を高めることも大切なモチベーションにしており、Beyoncé, Keyshia Cole、J. Cole、Joey Bada＄＄、Michael Jackson、Kiana Léde、Kehlani、Jorja Smith、Aaliyah、Lauryn Hill、TLC、Destiny’s Childなど、ヒップホップやR＆Bを中心に音楽にとても詳しく、心から愛していることもインタビューで頻繁に語られている。 　もちろん、楽曲のメッセージ性にも注目してほしい。恋愛を直接的なテーマにしている楽曲は基本的になく、「私たちは最高にイケてる」「夢を叶えるまで一生懸命努力する」など、連帯と自己実現などエンパワーメントにつながるようなテーマを多く扱っている。これはまさにXGのグループとしてのゴールでもある「女性の強さを体現する」「無理と言われていたことを実現させる」というメッセージを表現しているのだ。