ブリヂストンも見習った仏ミシュランの経営哲学、「タイヤの溝の角度まで特許で守る」納得の理由
■ 経営の持続性を高めるために欠かせない「2つの基本」 ──これからの時代、日本企業が経営の持続性を高める上で、経営トップはどのような考え方を持つべきでしょうか。 荒川 経営トップの基本的な役割が「あるべき姿を描くこと」、そして「持続的成長を実現すること」にあると心得ることではないでしょうか。経営計画を策定し、実行することも、これらの役割を果たすための手段です。 加えて、本社(親会社)の経営者は「子会社の経営者のオーナーシップを引き出すこと」を考えなければいけません。そのためにも、オーナーシップを持ってもらえるようなコミュニケーションは必要不可欠です。 ビジネスの世界でのコミュニケーションとは、理解と共感を得て、実行に移してもらうことを意味します。そのためにも、伝える側と伝えられる側が「フラットな関係」の中で意見を言い合い、納得し合う必要があります。グローバルカンパニーの優れた経営者には、このような能力が備わっています。そして、そのような経営者が率いる企業は活気があり、社員も明るいものです。 そして、株主をはじめとするステークホルダーとの関係を考える上では「ハーモニー」という言葉が最適だと考えています。企業経営において、ステークホルダーのどれが欠けても成り立ちません。顧客や従業員、株主、取引先、地域社会のいずれかに偏重するのではなく、全てのステークホルダーがハーモナイズされた形で力を発揮することで、企業は持続的な発展ができるのです。 そのように考えると、経営者の使命とは、全てのステークホルダーとコミュニケーションを図りながら、全てのステークホルダーを等しく重視することであり、最高のパフォーマンスが発揮できるように各人に働きかけることではないでしょうか。
三上 佳大