センバツ甲子園 熊本国府 夢舞台初勝利 近江に2-1 スタンド歓喜に沸く /熊本
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)が開幕した18日、第3試合に登場した熊本国府(熊本)は近江(滋賀)と対戦し、1点を争う展開の末、延長十回にサヨナラ勝ちを決めた。春夏を通じて初めて迎えた夢舞台での勝利に、スタンドからの拍手は鳴りやむことはなかった。【林大樹、長岡健太郎、佐藤薫】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 熊本国府は、エース右腕の坂井理人(3年)が先発。球速は130キロに満たないが、直球や変化球を混ぜながら果敢に立ち向かった。立ち上がりは得点圏に走者を背負うも仲間の守備に助けられて無失点で切り抜けた。先制点を許したが追加点は許さずに7回1失点と試合をつくった。 3塁側アルプススタンドは、熊本から駆けつけた約700人の大応援団が声援を送った。試合を見つめる坂井の母、美穂さん(50)は「負けず嫌いの性格で弱音を吐かない」と息子の力投を見守った。 攻撃では先制された直後の三回裏、1死二塁から3番内田海(2年)の左中間適時打ですぐに同点に。内田の父、智博さん(40)は「チャンスで打って、さらにチームに貢献してほしい」と喜んだ。 その後は、度々ピンチを迎えたが要所で坂井が抑えた。八回からは後を引き継いだ左腕の植田凰暉(ごうき)(3年)が躍動。八、九回とも得点圏に走者を背負うが、連続三振を奪うなどして得点を許さなかった。山田祐揮監督は試合後、「植田はすごく緊張していたが、崩れずに抑えてくれたのが大きかった」と植田に感謝した。タイブレークに入った延長十回表には好フィールディングを見せて失点を許さなかった。 すると直後の十回裏、1死満塁からこれまで1人で好投を続けていた相手投手の暴投で三走がホームを駆け抜け、春夏を通じて甲子園初勝利を決めた。スタンドでは応援団がこの日一番の歓声で勝利の報告に来た選手らを出迎えていた。 ◇「国府」が縁で応援 ○…「国府」という名前が縁になり、岐阜県高山市の軟式野球チーム「国府クラブ」の小学生13人が熊本国府の応援に駆けつけた。同じ名が付く高校がセンバツに出場することを上西智春監督(47)が子どもたちに伝えると「応援したい!」。高校に約90秒のビデオメッセージを送った。すると熊本国府からお礼と一緒に入場券が。子どもたちはアルプススタンドから声援を送りながら「いつか僕も甲子園で試合がしたい!」と目を輝かせていた。