【更新・追記】米民間企業の月着陸船「Nova-C」月面着陸に成功するも横転した状態か
アメリカの民間企業インテュイティブ・マシーンズとアメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年2月23日、インテュイティブ・マシーンズの月着陸ミッション「IM-1」の月着陸船「Nova-C(ノバC)」が月面に着陸してから初のテレカンファレンスを行いました。Nova-Cは月面着陸に成功したものの機体は直立しておらず、月面に横転した状態で安定しているとみられています。【最終更新:2024年2月27日11時台】 今日の宇宙画像 IM-1はインテュイティブ・マシーンズ初の月着陸ミッションで、着陸船のNova-Cにはアメリカ航空宇宙局(NASA)の商業月輸送サービス(CLPS)の下で選定された6つのペイロードと民間の6つのペイロード、合計12のペイロードが搭載されています。IM-1ミッションのNova-Cは日本時間2024年2月15日にスペースXの「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットで打ち上げられた後、日本時間2024年2月22日未明までに月周回軌道へ投入されていました。
日本時間2024年2月23日朝、Nova-Cは月の南極近く(南緯約80度)にあるマラパートA・クレーター(Malapert A、直径約33km)へ向けて降下を開始し、同日8時24分に月面へ着陸することに成功しました。実際の着陸地点は目標地点から2~3km離れていると推定されています。アメリカとしては1972年12月に実施されたアポロ17号以来約51年2か月ぶり、民間としては世界初の月面着陸(軟着陸)となります。民間による月面着陸はこれまでにイスラエルのスペースIL、日本のispace、アメリカのアストロボティックが試みたものの、いずれも軟着陸には成功していませんでした。 民間初の月面への軟着陸に成功した今回のIM-1ミッションですが、全てが順調というわけではありませんでした。海外メディアのSpaceNewsによると、月周回軌道投入後にNova-Cの軌道を正確に測定するべくレーザー距離計を使用することになったものの、安全対策として地上ではオフにされていた機械的なスイッチが打ち上げ前にオンに切り替えられていなかったため機能しないことがこの時点で判明しました。レーザー距離計は着陸時に使用されるセンサーであるため、着陸直前まで気付かれない可能性もあったようです。