【更新・追記】米民間企業の月着陸船「Nova-C」月面着陸に成功するも横転した状態か
そこで急遽、精密着陸技術の実証用に搭載されていたNASAのドップラーライダー「Navigation Doppler Lidar(NDL)」をNova-Cのナビゲーションシステムに組み込むためのソフトウェアが作成されました。ライダーの機能はレーダーに似ていますが、電波の代わりにレーザー光を使用するところが異なります。NASAのNDLは高度5kmから着陸までの間に速度・方位・高度の高精度な測定を行うために搭載されていた装置で、結果的にIM-1ミッションを救うことになりました。 ただ、最終降下時のNova-Cは毎秒約1mの速度で月面に対して垂直に降下する予定だったものの、実際には毎秒約1mの水平移動を伴う予定の約3倍の速度で降下してしまったため、接地時に着陸脚が月面に引っ掛かり横転したとみられています。月面に面している側(倒れた機体の下側)に搭載されていたのはアート作品のみで、ペイロードの大半は動作しているとされていますが、一部のアンテナが使用できなくなっているため、特に期待されている画像の送信が困難になっている模様です。 また、着陸前に放出される予定だったセルフィー撮影用の小型機「EagleCam」は、レーザー距離計の代わりにドップラーライダーを使用することになったため放出が見送られました。エンブリー・リドル航空大学で開発されたEagleCamは高度30mで放出された後に着陸するNova-Cを撮影する予定でしたが、テレカンファレンスの時点でもNova-Cの側面に搭載されたままになっており、ミッション終了までに放出して画像を撮影することができるかもしれません。
【2024年2月27日11時40分追記】日本時間2024年2月26日夜、NASAは月周回衛星「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」で撮影した月面のNova-Cと着陸地点付近の画像を公開しました。次の画像中央の矢印で示されているのがNova-Cで、月の南緯80.13度・東経1.44度、目標地点から1.5km以内の地点に着陸したことが確認されています。 また、同じく日本時間2024年2月26日夜にはインテュイティブ・マシーンズが着陸後にNova-Cのカメラで撮影された画像を公開しました。画像には機体の一部やNova-Cの影が落ちた月面が写っています。同社はNova-Cの太陽電池パネルに太陽光が当たらなくなるまでデータを収集する予定であり、米国の現地時間2024年2月27日朝まではNova-Cと通信を続けられる見込みだと述べています。 インテュイティブ・マシーンズのIM-1ミッションについては新たな情報が発表され次第お伝えします。 Source NASA - NASA Tech Contributes to Soft Moon Landing, Agency Science Underway NASA - NASA News Conference on Intuitive Machines' First Lunar Landing (YouTube) NASA - NASA’s LRO Images Intuitive Machine’s Odysseus Lander Intuitive Machines (X, fka Twitter) SpaceNews - IM-1 lunar lander tipped over on its side Lunar Reconnaissance Orbiter Camera - Intuitive Machines IM-1 On The Moon!
sorae編集部