テザー、ビットコイン担保融資でキャンターと協議:報道
ウォール街の金融サービス会社であるキャンター・フィッツジェラルド(Cantor Fitzgerald)のハワード・ルトニック(Howard Lutnick)CEOは、ビットコイン(BTC)を担保に顧客が資金を借り入れることを可能にするキャンターの数十億ドル規模のプログラムについて、テザー(Tether)のジャンカルロ・デヴァシーニ(Giancarlo Devasini)氏と協議中であると、ウォール・ストリート・ジャーナルが11月24日に報じた。 7月に初めて発表されたこの融資イニシアティブは、まず20億ドル(約3100億円、1ドル=155円換算)の資金から開始され、最終的には数十億ドル規模にまで拡大する可能性がある。テザーがこのプロジェクトに参加する可能性があることは、ステーブルコイン発行会社と金融サービス会社の関係が深まっていることを示している。 2021年からテザーの米国債のカストディアンとなっているキャンターは、同じ報道によると、ステーブルコインのテザー(USDT)を発行するテザー社の5%の株式を取得しており、その価値は約6億ドル(約930億円)だ。 テザー社は世界で最も広く使用されているステーブルコインを運営している。CoinMarketCapによると、米ドルを基準としたUSDTの時価総額は1327億6000万ドル(約20兆5778億円)に上る。 しかし、このトークンは詐欺、マネーロンダリング、制裁逃れに関与する違法行為者によって使用されているとして、厳しい監視の目にさらされている。先月、ウォール・ストリート・ジャーナルは、テザー社がアメリカで制裁およびマネーロンダリング防止規則違反の疑いで調査を受けていると報じた。 テザー社は、この報道を「無責任」と非難し、同社を批判する人々が、法執行機関との協力や不正使用の取り締まりへの取り組みの歴史を無視していると述べた。 バイデン政権下では、複数の暗号資産(仮想通貨)企業が規制当局の取り締まりに直面した。トランプ政権は方針を転換する意向を示しており、次期大統領とその家族は複数の暗号資産プロジェクトを立ち上げており、その一つにワールド・リバティ・ファイナンシャルがある。 トランプ氏の周辺には、ルトニック氏自身を含め、トランプ氏のチームで重要な役割を担う複数の暗号資産の支持者たちがいる。彼は現在、移行チームの共同議長を務めており、先週、トランプ次期大統領から商務省のトップに指名された。この役職は、アメリカの暗号資産の状況に影響を与える立場となる。 ルトニック氏は先週、この役職に就くならば、証券会社BGCグループと不動産会社ニューマーク・グループでの役職と同様に、キャンターからも退くつもりだと述べた。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Danny Nelson/CoinDesk|原文:Tether in Talks to Support Cantor Fitzgerald’s Planned Bitcoin Lending Program: WSJ
CoinDesk Japan 編集部