【高校サッカー選手権】東海大相模が大会2連覇中の日大藤沢をPK戦の末に下し初の決勝進出
11月4日、第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選の準々決勝が県内2会場で行われ今夏のインターハイに出場した東海大相模は県3連覇を目指した日大藤沢と対戦。0-0のまま延長戦でも決着がつかず、突入したPK戦を4-2で制し、同校初の決勝進出を決めた。 【フォトギャラリー】日大藤沢 vs 東海大相模 「ちょっと自分がネガティブになりすぎて。(相手のVTRを)何回も見たら良いところばっかり見えるじゃないですか。そこは、良さは良さだけど、自分たちの良さを出そうっていつも選手に言ってるのに、そんなことばっかり言ってる自分がいたんで、今日の朝、グラウンドのミーティングで『申し訳ない』って(選手たちに)謝りました。『自分たちにベクトル向けて自分たちのサッカーやろう。ただ守備は頑張ってやらないとやられちゃうんで』って話して…よく頑張ってくれました」 試合後、有馬信二監督が笑顔を見せた通り、東海大相模が大事な一戦を通して大きな成長を見せた。 日大藤沢のキックオフで始まった試合は、序盤から互いに持ち味を出し主導権を握りにかかるが、共に粘り強く落ち着いた守備で対応、試合は膠着状態が続く。 33分、東海大相模は、左サイドを縦に突破したFW14小林正樹からのパスを受けたFW10沖本陸がシュートに持ち込むも枠を捉えることができない。対する日大藤沢も素早くパスを繋ぎながら相手を剥がしにかかるが、東海大相模の粘り強い対応に決定機を作ることができず。 すると後半、風上に立った東海大相模は44分にCKから、48分にはロングスローからゴールに迫るが得点には至らない。60分には左サイドのDF5佐藤碧の縦パスを受けた沖本が相手DFを交わすとカットインからミドルシュートに持ち込むが惜しくもゴールの右へ外れてしまう。 結局、80分を終えても互いにゴールを奪えず、延長戦に突入。しかし、ここでも勝負はつかず、決着はPK戦に持ち込まれた。先攻の東海大相模は1人目の沖本がGK小久保亮太に止められ、嫌なムードでスタートするが、GK1松坂亮が日大藤沢の1人目のMF7宮澤朋哉を止め返すと続く2人目のMF10布施克真もストップ。3、4人目は双方とも決め、迎えた5人目の佐藤が落ち着いてゴールに沈め、4-2でPK戦を制し、東海大相模が日大藤沢を下し、初の決勝へと駒を進めた。 試合後、有馬監督は「今年は(全国を)狙えるチームです。自分も高校時代に選手権3回出て本当に良さがわかるんで、選手に絶対味わってもらいたい。うちのコーチたちもみんな若いので、経験するといざ実際自分がってなった時に、より良い経験で選手に伝えられるんじゃないかな」とコメント。続けて「選手権は僕の中で期末試験と考えています。中間試験のインターハイで勝っても期末で点数が取れないなってずっと思っていたので、ここは絶対ものにしないと、何としても一回で答えを出さないと」と決勝へ向けて決意を述べた。 キャプテンのMF6長井隆之介は「結構前から全部ハメに行くぞっていうイメージでやっていたので、自分だけじゃなくて、フォワードの2枚もサイドも高畑も全員で追ったからハメることもできた。基本的には前から行くって全員で決めていたので、そこは成功かなと思ってます」とし「目指しているのはここじゃなくて、もう1個先なので、気を抜かずに今週もやって創英さんに絶対勝ちたいです」と熱い思いをたぎらせた。 PK戦で2本を止めた殊勲の松坂は「試合はずっと守備する時間が多くて、自分たちのチャンスがあまり作れていなかったんですけど、PKで自分が止めて勝つことができてよかった」と笑顔を見せ「創英はインターハイも勝ってる相手なんですが、油断はせずに自分たちのサッカーを貫いて勝っていこうと思います」と意気込んだ。 得点こそ奪えなかったものの攻撃の中心として奮闘した沖本は「最後PKを自分が外してしまったんですけど、チームが助けてくれました」と仲間への感謝を口にし「このままチームも調子が良い状態なので、あとは点を獲るだけ。守備も話し合って、このまま行きたいです。最後はチームで笑って終わりたい。 それだけです」と締め括った。 (文・写真=西山和広)