U-23のガーナ戦の裏にあったOA枠との戦い。大久保は必要なのか?
目の前の敵と戦いながら、今夏のリオ五輪に挑むU‐23日本代表の選手たちはポジションがかぶる、24歳以上の日本人選手のイメージとも戦っていた。3対0で快勝した11日のガーナ代表戦(ベストアメニティスタジアム)の舞台裏を表現すれば、こんな形になるだろうか。 佐賀県内で短期キャンプをスタートさせた9日。練習前に行ったミーティングで、手倉森誠監督は「オーバーエイジ枠を行使する。それは確かなことだ」と明言したうえで、熱い思いをぶつけている。 「オーバーエイジを呼べるか呼べないかで、君たちが決まるわけではない。U‐23代表があってこそ、オーバーエイジが決まる。そこをはき違えてもらっても困るし、U‐23代表だけでも大丈夫だという力を、ガーナ戦とトゥーロン国際大会で示してほしい」 最大3枠のオーバーエイジを、何人招集するといった詳細は未定だ。あくまでも23歳以下の選手ありき。ガーナ戦から幕を開けたサバイバルをくぐり抜けた精鋭たちを軸に、それでも足りない部分を経験と実績を兼ね備える24歳以上の選手たちで補い、リオの地でメダルを狙うチームを完成させる。 指揮官はさらに、すべての23歳以下の選手たちの競争意識を煽る狙いを込めて、オーバーエイジ候補の選手名を具体的にあげてハッパをかけた。 「アタッカーは(大久保)嘉人を追い越さなきゃいけないし、中盤は長谷部(誠)を追い越さなきゃいけないし、ディフェンダーは(吉田)麻也を追い越さなきゃいけないと言いました。固有名詞が出たら、その選手に『絶対に負けない』というメンタリティーが彼らには必要だと思うので」 固有名詞をあげた理由を、手倉森監督は笑いながら「みなさんが情報を取得して(紙面で)取り上げることで、選手たちが個人的に盛り上がってくれればいい」とかわした。実際、先週末には1部スポーツ紙で、大久保がオーバーエイジの候補に入ったと報じられている。 大久保は22歳だった2004年に開催されたアテネ五輪に出場している。まもなく34歳になるいまも、日の丸を背負って戦う舞台への思い入れは強い。今回の報道に関しても「実際はどうかわからないけど」と前置きしたうえで、代表への想いをこう表現している。 「そういう話が来れば、日本のためにという思いはある。それしか言えない」 リオ五輪開催中はJ1も開催されるため、実際に代表入りすれば4試合から5試合の欠場を余儀なくされる。前人未到の連続記録を更新中の得点王獲得が3年で途切れるおそれすらあるが、それでも「得点王は3回取った。それよりも、大きな大会に出られるのはいいこと」と意に介さない。 果たして、ガーナ戦におけるU-23のパフォーマンスは、指揮官の目にどのように映ったのか。